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日本茶インストラクター Nishikien owner's weblog 


日本茶インストラクターの店主によるお茶や茶器などにまつわる事柄。

2009年めぐりあいの茶。築地勝美作「玉川 こもれびの茶」

お茶に関してブルータスのような全国区の情報誌が取り上げてくれるのは実にありがたいことです。紙面を通じてお茶に興味をもち、実際に様々なお茶に触れそのお茶が育った風土、人を感じてくれるようになればいいなと願っています。

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さて、お茶に関わっていると、「これは多分、2度と無いな。」と直感的に感じるものに出会うことがあります。
優秀な生産家は出来上がる製品(茶)をイメージして園地で生葉をつくります。毎年異なる天候や諸条件を鑑みながら農作物を育てることは難しいことです。単園、単産地のアイテムが毎年、お客様の望むクオリティになっているというのは実はすごいことなのです。そんな優秀な生産家であっても毎年は出来ないお茶が存在します。生産家のコントロールを良い意味で通り抜けて、その先に辿り着いてしまったお茶ともいえるでしょう。

2009年5月中旬、そんなお茶にめぐり会いました。それが今回、ご案内する「築地勝美作 玉川 こもれびの茶」です。。一般的に雨後は葉が硬くなるとされ、雨前の摘採をしたいものです。それをよいお茶をつくる為に「雨後待つ」と生産家が判断しました。ところが2日でいいと思っていた雨が4日続く天候。天気ばかりはどうしようもありません。
雨が止んで2日目の5月10日、寒さよけのこもれ日の下そのお茶は刈り取りがされました。生葉にして約100kg。
製茶された後、見本が横沢共同の冷蔵庫へしまわれました。横沢共同がフル稼働の日、品種物の築地山峡や手摘みのお茶ではない、ハサミ刈りのやぶきたが他の荒茶に混ぜられることもなく単品で残されたのもたまたまといえるでしょう。

時間は流れ、築地東頭摘採開始。17日の夜に横沢共同にて築地さんに「どれでもいいから見本のお茶でお茶いれてみてくれや。」と声を掛けられて目に止まったのが5月10日築地と書かれた茶缶。
「あの雨後のお茶か。」と思い興味本位で蓋をとり拝見盆へ開けました。
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玉川 こもれびの茶(※仕上前の荒茶です。)

紺を感じる濃緑色の力強さ。色の冴え。
「これ、いれていいですか?でも、その前に拝見させてください。」
拝見茶碗の中で生き生きとしている茶葉。時間が経ってもそれが褪せない素晴らしい出来。
「凄いですね、コレ。なんですか?こんなのはナイですよ。今シーズン。」
「それな、寒冷紗の匂いしないか?例のハサミなんだけんどな。」
被せ香がキライな私を気遣ってかの言葉。
「いや、補って余りの方が何倍もあるお茶です。単品でありますか?」
「あるよ。」
もう、買う気満々な私。値段のことなどそっちの気でした。

6月、もうすでに新茶のシーズンを過ぎ、慌てることなくお茶を落ち着かせてから仕上げ作業へ。(荒茶、仕上げ茶の区別無く、お茶は出来上がったばかりの時は茶葉内の水分分布にばらつきがあります。製品の様子を見て、水分が揃うのを待った方がいい結果になることが多いのです。)

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6月16日仕上げ作業完了。仕上がったお茶を2日間、冷蔵庫で落ち着かせた6月19日。再び対面。
横沢共同の生み出す玉川のお茶はその力強さが魅力のひとつ。その芯の強さがありながら、やさしさ、穏やかさがお茶から伝わってきます。まるであの園地のこもれびを感じるような。

早速、パッケージ製作へ。茶銘は拝見し、急須でお茶をいれた時から決まっていました。
「横沢製茶共同組合謹製 玉川 こもれびの茶 築地勝美作」

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こんな良茶にめぐり会う事があります。単産地、単園、単日。生産量は僅かに20kg。品種としても珍しいわけでもない「やぶきた」。でも、こんなお茶は他にありはしないでしょう。

このようなマレ物の茶。単品で販売されることなどほとんど無く合組みの原料にされてしまうのが普通です。確かにおいしいお茶を作り出す良い原料となることは間違いありません。でも、どんなにおいしいお茶が出来たとしてもこのお茶が持つ世界感は失われてしまいます。

園地にある一枚一枚の葉はそれぞれが違う一枚です。それぞれがそれぞれの香味を持っていて、どんなに選りすぐってみてもミクロな目でみれば全てブレンドです。これは神の手によるものと言ってもいい。
茶を生業としてそのアイデンティティのひとつでもある合組み。その事をよりどころにしていた頃もありありました。でもやはり、人のする事です。本当に良いものをより良くする合組みはないのです。


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「横沢製茶共同組合謹製 築地勝美作 玉川 こもれびの茶」
価格¥1575/50g
産地:静岡市安倍川上流域右岸玉川地区寺尾
生産:築地勝美
製造:横沢製茶共同組合
製法:普通蒸し
品種:やぶきた

錦園へのご注文はお電話、メール(shizuoka@nishikien.com)、FAXにて。ホームページ内には6月21日現在未登場です。近々に作成の予定です。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
2009年6月23日(火)より静岡伊勢丹B1Fにて販売開始。



日本茶専門店 錦園石部商店
錦園店主 石部健太朗
日本茶インストラクター(02-0362)

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