日本茶インストラクター Nishikien owner's weblog 


日本茶インストラクターの店主によるお茶や茶器などにまつわる事柄。

茶に関わる者に託された仕事

お茶を手軽に飲めるようにと言われますが、軽くキャップをひねるだけでいつでも飲めるようになった「茶」が大きな市場を有し、その目的はほぼ達せられています。
 
手に入れる気になれば24時間いつでも自動販売機やコンビニエンスストアなどでもお茶を買う事が出来る。お湯を沸かす必要もなく、こんなに「茶」が手軽に飲める時代になりました。これ以上手軽になどとなる事はありません。
茶殻を捨てる事も、洗い物も無く、美味しさもそこそこで、茶に対して過大な期待をしていなければ及第点です。無理やりに色や、鮮度を追ったようなリーフよりは何倍も飲みやすいでしょう。
 
そして茶系ドリンクの原料は紛うことなく「茶」です。原料茶として需要と供給が叶う生産体制でのぞめるのであればそれをするのが正しい姿です。換金作物を作る生産者としてそこに貴賎はありません。それどころか、資本が無ければそのような大量生産には向かえない事でしょう。広大な茶園で、高効率化された生産体制で年平均単価500円/kgの継続生産を目指す茶業も立派だと本当に思います。
 
私は資本として少なく、商いとしてその方向は出来ません。資本の少ない商いほど、よりスペシャルで価値が高く、価格もそれに見合った高価格である商いをする必要があります。
より高品質となれば、荒茶などは商品ではなく、製茶問屋の目的を持った仕上げ技術が必須です。山間地で園地面積が少なく、生産量ではなく、品質と高価格を目指す取り組み先は最高のビジネスパートナーです。
 
とは言え、高価格帯の茶といっても知れています。高くてもたかだか10000円/100gです。生産量の少なさと品質を考えればもっと高価格の食品は多数あります。高級腕時計や自動車のように、憧れても買えないような製品ではありません。酒のディスカウントストアに並ぶ洋酒よりも安いのです。
 
ひと世代前の、100g500円や300円でも美味しいなどと言う言葉を発する者は結局、茶の未来を喰いつぶしている人達です。
 
茶業に関わるのであれば、100g2000円、3000円の茶の美味しさを伝え、生産者はそれに見合うような茶づくりをする。茶価を上げると言うのならそれに見合った事をしなければ出来はしません。その価値を有さない製品を不釣り合いに高い値段で売るのはお客さまへの裏切りだからです。
そんな手間で面倒な作り方や売り方をと思うかも知れませんが、それをしない限り、私たちが残したいと思う日本茶の世界は存続されません。
 
日本茶が好きで憧れていた外国の若者が、一杯の茶を飲んで発した言葉は「日本に来てよかった。」でした。
この言葉を常とするように。大袈裟でも何でもなく、21世紀、茶に関わる者に託された仕事です。

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旧マッケンジー邸に展示されている輸出茶見本

旧マッケンジー邸に展示されている輸出茶見本。

この見本に書かれている「チュンミー」「ソウミー」「ガンパウダー」といった外国茶の名前のお茶が、全て日本の国内生産茶であると知った時が蘭字や日本茶の輸出に興味を持ったきっかけでした。因みにこの見本茶で、それらの名称の茶は全て蒸し製の緑茶です。

それまでは、用途など特に意識せず「日本茶が輸出されていた」とする情報だけで、私の思考の大半は留まっていました。でも、何か気持ちの悪いぼんやりとした感覚だけが僅かにあったのを思い出します。

静岡茶共同研究会の活動で、かつての輸出茶に関しての資料が見つかっていく中、明治期は着色茶の色付けの強弱で「パンファイアード(着色強)」「サンドライド(着色弱)」の呼称となっている事を知ったのはつい最近の事です。お茶にある程度、詳しい方ほど衝撃的な事でしょう。

輸出茶や蘭字についての研究や調べ事の中で、見聞きする事で得られる知識は勿論、興味深く重要ですが、それにも増して「思考を停めない事」の大事さを知った次第です。

静かな観光地として訪れる人も少ない旧マッケンジー邸ですが、行かれた際には是非、見本茶もご覧になられる事をオススメします。

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常滑焼急須に託された次の階段

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常滑焼急須は生活雑器として作られた近現代の急須。決して長くはない歴史の中で、常滑だからこその先に生まれた稀有な焼物です。
 
使われる為の道具として作られたのに、使う事が勿体ないとさえ思う気持ちが嬉しさと混じり合いながら湧きあがってきます。
 
本末転倒なのですが図らずもその気持ちが湧きあがること。それはきっと、常滑焼急須に託された次の階段なのでしょう。
 
以前に茶葉を見ても感じた事があります。その美しさや風情から、湯を注す事を躊躇う気持ちになりました。飲む為に作られた物だというのに。
日本茶と常滑焼の急須。対なのだなと素直に思います。

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焼き物は出会いなどとも言われます。その出会いもお楽しみいただければ幸いです。

「あの時に見た急須が欲しいのですが」との
お問い合わせを頂戴する事が何度となくございます。

その時のお答えは多くの場合、「申し訳ありません。ございません。」です。

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何でも便利に手に入る世の中となりましたが、工業製品ではない品物は一点しかない場合がほとんどです。

轆轤による手作りの急須は構成する部品が多く、端的に言えば5つの製品、胴、持ち手、注ぎ口、蓋、茶漉しが組合わさり、1つの製品となっています。

手作りのそれぞれがぴったりと同じに出来る事の方が無理な話で、そこに焼成による偶が生む景色が重なれば、不可能の領域である事は想像がつかれる事でしょう。

焼き物は出会いなどとも言われます。既製品が溢れる現代ですが、ご覧になられたり、手を触れられる機会などに、これはと感じる事がありましたら、ちょっと時間をさいて、その出会いもお楽しみいただければ幸いです。

音・音楽・茶 響き合う  ECHO OF TEA 茶響とスペシャルティー

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音・音楽・茶 響き合う  ECHO OF TEA 茶響

世界お茶まつり2016のイベントにて公開されました。前半の映像とアレンジはメンバーのChang Jiangさんが YouTubeにアップしてくださいました。

https://www.youtube.com/watch?v=JLztoB3zGQU


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お茶と音楽をテーマとしてサービスのスペシャルティーもご用意する企画でした。
音楽とお茶とした時に、私にとっては、「いつ飲むのだろう」がテーマでした。音楽を邪魔せず、でも印象に残るように。
 
・演奏を楽しみに来た人は演奏時には飲まない。
・休憩時間、演目曲の合間に口にする。
・飲んで直ぐに無くなってしまわない。

ロングドリンクをヒントにしながら、お茶で作った氷を炭酸でアップする事をしました。
トールグラスを使用し、ヘッドスペースを多めに作る。炭酸の気泡で立ちあげた香りを抱えるように。液面から上の空間に抱えさせるように。
お茶の氷が溶けていき、飲むごとにお茶の味が濃く 最初は炭酸水だったものがお茶に変わっていく。

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ECHO OF TEA 茶響のスペシャルティー
・使用品種:香駿
 
ほぼ思惑通りとなり、好評でした。
 
ご協力を賜りました皆さまありがとうございます。
おかげ様で楽しく過ごせました。

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