日本茶インストラクター Nishikien owner's weblog 


日本茶インストラクターの店主によるお茶や茶器などにまつわる事柄。

三越Mカード通信-首都圏版 2016年9月号にご掲載をいただきました。

三越Mカード通信-首都圏版 2016年9月号にご掲載をいただきました。

【日本のおもてなし】
日本橋三越本店本館5階和食器
会期:2016年8月31日~9月13日まで

お近くにおいでの際は是非、お立ち寄りください。

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仕事をする理由

仕事をする理由

常滑にて、モノづくりの現場を拝見。
淀むことなく、迷うことなく、手が動き、動きの全てが形になっていきます。息をするがごとくに進む手仕事。

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インターネットなどの情報発信をなさる職人さんと少し話をしました。

「情報を伝えることに熱心ですよね。」
「石部さんが言ったからだよ。」
「常滑の職人さん達が当たり前と思っていること。そのひとつ、ひとつに値打ちがあるんです。当たり前に使っている道具、動作、工夫。藻掛けを知っている人なんてほとんどいないんです。」

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別の職人さんとも話しをしました。

「常滑の急須は決して長い歴史があるわけではないよ。急須だけをつくるようになったのなんて父の代からくらいだし、その父も急須なんて売れなくて本当にあちこちに持っていったんだ。苦労している中、どうにかぽつぽつ売れるようになり、高崎の商店が気にいってくれて沢山買ってくれた。家へ来て、サンテナーにはいって積まれていた急須を、これ全部買うよ。と言ってくれて助かったと話していたよ。」

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常滑の急須は昭和の時代、精度と生産量を急激に上げていった産地です。何代も続いているような窯元はほとんどありません。

後発の産地、その仕事のほとんどに分業が無く小さな窯で焼成される急須。
大きな産地ほど分業が進むのが普通です。生地製作と絵付けが別なんて事も当たり前です。

過日、茶器問屋の社長との会話
「常滑みたいなところは何処にもないよな。ほとんど一から十まで自分で作ろうとするなんてなあ。」
「ええ、そう思います。」

明治、大正と茶の輸出が盛んであったであろう時代。残された海外の写真に急須の姿は無く、目につくのは紅茶などのティーウェアです。
私が茶業を生業とするようになって20年、常滑とご縁が出来て僅か18年程度。
静岡茶と常滑急須、長い歴史の中で一瞬の接点なのでしょう。

手揉みから始まり、機械製茶によって工芸作物の成熟の域に達した「日本茶」。手に技術が滲みこむまで急須づくりに携わった職人の「常滑急須」貴人でもない一般の人がそれらを手元で楽しめる21世紀の今。

当たり前のように思っているこの時間は奇跡にも等しいのです。

出来ることなら共に未来へ。
次世代にもこの宝物を手渡していきたいものだと切に思います。叶わぬともそれに向き合わずにはいられません。

これが私が茶業者として仕事をする理由です。

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~茶響~ お茶を解き放す。もっと自由に。

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茶を商いとする者がお茶の「香味」について一言のある事は致し方無いことです。それは製茶や品質、いれ方も含めて。生業とする者のアイデンティティとも言える部分であり、それを軽んじる事は仕事に対しての無責任ともなります。お茶は「飲料」であり、「香味」はお茶にとって最も大事な部分です。

でも「大事」とはある意味で「鎖」にもなっています。

その最も大事な部分から手を離してみる。「香味」からお茶を解き放す。もっと自由に。

【茶響】の試みはお茶を自由に広い世界へ旅立たせる試みのひとつです。インターネットの世紀だから出来る、今、ならではの。

~茶響~PRより

茶の湯がしゅんしゅんと沸く音・・・
お茶摘さんの手元には、ぷつっぷつっというリズミカルな響き・・・
茶工場の製茶機が奏でるバッタンバッタンという機織りのようなリズム・・・
耳を澄ますと、お茶のある場所には、心地よいお茶の時間を予感させる「音」があります。

茶の音おとを、「音楽」として楽しめたら・・・
新しいお茶の世界がもっともっと広がっていくように感じませんか。

静岡の新茶シーズンに茶園と茶工場で「音」を録音しました。
そして、お茶を淹れるシーンや茶筅を振るう音など、ワクワクするようなお茶の音をたくさん集めました。

この音源を使って、素敵なミュージシャンの方たちが「音楽」を作ってくれました!
そして、ピアニストの滝千奈美氏を静岡にお招きし、お茶と在る音楽も一緒に届けられたらと、

ティーミュージック・ライブコンサート「茶響」
世界お茶まつりで初!お披露目いたします。

https://www.facebook.com/events/578960742291655/

急須に蓋は必要なのか?

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急須に蓋は必要なのか?
答えは当然「必要」です。特に「良質な茶を生産及び販売をしている。」と口にするなら、無くてもいいなどといった答えになる筈はありません。

日本茶は園地での栽培、製造、成分、水質などが相まって「低温度帯の水(湯)」を用いても比較的短時間で浸出が可能な茶種です。

「お湯を冷まさなくてはいけない」と言われますが、低い温度帯でもお茶がいれられるのは大きなメリットなのです。

旨味成分が多く、軟らかな原葉を使用した日本茶の製造工程において、恒率乾燥(表面に出て来る水分と乾く水分を等しい状態)を維持しながら製茶を行えば表面から内側に向かって大きく味が変わるお茶が作られます。

※恒率乾燥の状態を維持するのは日本茶に限った事ではありません。これは茶生産の基本であり、烏龍茶製法の萎凋時における攪拌の大きな意味は恒率乾燥の状態を促す為です。

階層構造のようになっている茶の香味を引き出すには段階的に茶葉に与えるストレスを強くしていきます。

急須を使う場合の「ストレス」はお湯の熱です。闇雲に揺するといったストレスはバランスを壊し、煎を重ねる事によって楽しめる味わいを台無しにします。

茶葉に与える熱は「湯温」「湯量」「冷め方」によって決まるのですから、煎を重ねた先に更に熱を与えるには「冷めにくい」状態にしなくてはいけません。煎で言えばおおよそ四煎目以降。

一杯の茶を美味しくしたいとした時に温度のコントロールをするのに「蓋」は必要なのです。

「お茶は解く(ほどく)ようにいれる。」
「お茶は静かにいれる。」

これはお茶のいれ方の基本です。

時計の針を戻すようにお茶をいれましょう。お茶は最後に起きた事が最初に出て来ます。煎を重ねた先に蒸かした直後の香味や茶園で感じたような味わいが楽しめた時、それこそが「栽培、製茶、製造、お茶をいれる事の全てが上手くいった証」なのです。関わった人々の仕事の結実が「お茶」です。

お茶とは面白いものですね。

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日本茶専門店 錦園石部商店 http://www.nishikien.com

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