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日本茶インストラクター Nishikien owner's weblog 


日本茶インストラクターの店主によるお茶や茶器などにまつわる事柄。

第99回茶学の会「常滑急須の世界」公開座談会を明けて。常滑急須職人諸氏と産地見学

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第99回茶学の会「常滑急須の世界」公開座談会を明けて27日。職人諸氏と関係者と工場及び園地見学。時間がタイトだったので駆け足気味になってしまった感は否めませんが十余年来してみたかった事が出来たように思います。

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取引先にご協力をいただき、品種茶・深蒸し茶・カブセ茶の拝見も。6点の資料茶は私にもブラインドでした。順番に「山峡」「香駿」「やぶきた(主に)」「さやまかおり」「かなやみどり」「香駿」。初めての方でも出来るだけ違いが分かるような品種茶でとお願いしたものです。

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茶の拝見時において「みんな同じに見える」と伝えられましたが説明をしながら硬結びの紐を解くようにしていくと違いが見えてきます。
外観、拝見茶碗の中で湯に浸っている時間が長くなると違いが更にわかります。

考え悩みながら拝見を繰り返しヒントを探す事を重ねていくと、例えば最初は30分掛かっていた時間が経験を重ねる程に短くなっていきます。10分、5分、30秒といった具合にです。
特別な才能が必要なわけではありません。私より五感に優れる人の方が大勢だと思っています。大切な事があるとしたら、続ける事が出来るかどうかです。園地での様子を製茶、仕上げ、拝見に繋げていくこと。

「これを見て、よく分かるなあ。」
「分かって説明出来ないようでは仕事になりませんよ。」
「それはそうだな。」

これはお茶に限った事ではありません。急須でも何でもきっと同じです。

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第99回茶学の会「常滑急須の世界」公開座談会

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第99回茶学の会「常滑急須の世界」公開座談会が無事に終了しました。小泊さん、吉野さんに企画の発案、お心遣いをいただき実現した公開座談会でした。本当にありがとうございます。70名近い参加者がいらしてくださり、99回の茶学の会で5本指にはいる有意義な内容だったと小泊会長よりご感想をいただけましたこと嬉しく思います。
今回のお話しを頂戴した際に、真っ先に大事にしようと思ったのは「答えを示さない。」でした。

急須や陶芸に数十年を関わられた職人諸氏6名にご参加いただきお話しを伺う。それはモノづくりについての個々の考え、歴史を垣間見る事に他なりません。

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職人諸氏の語る「常滑」の中に何を感じるのか。聞く人達の急須に関しての思い込みの殻にひっかきキズをつけること。
なんだかモヤモヤする面白さ。聴講だけでは物足りない感覚。
クイズのようにページの裏側に回答があるのではないストレス。
職人諸氏であっても知らない地元の情報も散りばめながら、他愛も無い雰囲気で進行させていくこと。

終了後、常滑へ行ってみたくなりましたとの声があちらこちらから聞こえ、終了後もそのような感想をお伝えくださる方が大勢いらっしゃいましたので自己評価としては重畳です。

さて、次回がある事を期待しつつ、これにて。

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袋井茶文化促進会




海を越えた日本茶。 いつか、海の向こうで。

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静岡茶共同研究会の流れで蘭字に関しての資料を拝見する機会に恵まれました。蘭字研究の第一人者である井出さんのお話しを直接聞けるとは数年前まで思ってもいませんでした。ありがたい事です。

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ただ綺麗なラベルというのではなく、何故この様なラベルがわざわざ作られたのかなど興味は尽きません。美しいラベルの貼られた茶箱はアメリカのティーショップに到着したらそのままディスプレイになったそうです。

ひょっとして、当時のアメリカの写真の中にそんな様子が残っていたら面白いとも思います。

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日本茶のような硬度の高い水への適応幅の狭いお茶を売る苦労はどのようだったのだろう。センテッドや紅茶、コーヒーの方が何倍も分かりやすい商品であったろうに。とモノ売りの私は考えてしまいます。

時は流れ、日本茶が輸出作物であった事を知る人は僅かになりました。養蚕のように産業として萎めばそれに関わる人もいなくなり、伝える声も消えていくものです。それを止める事は出来ません。

ご縁があって2012年にパリにて日本茶に相応しい水でお茶をいれました。その時の現地の方の笑顔は日本のそれと変わりませんでした。パリの取引先オーナーが通訳してくれた言葉は「日本茶ってこんなに美味しいのですか。」でした。

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先人達が日本の事を想いながら展開した茶の輸出。品種も増え、かの昔には無かった香味が楽しめるようになった21世紀。
水 、お茶、茶器を吟味して、セレモニーではなく楽しめる日本茶をアメリカで呈してみたい気持ちが心のどこかに浮かんできます。

まあ、お茶でも飲みましょう。

いつか、海の向こうでこの言葉を。

2015年7月15日 静岡産業大学情報学部 日本茶文化史 特別授業

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静岡産業大学情報学部 日本茶文化史 特別授業講師を担当させていただきました。今年で3回目のご縁となります。

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日常にある日本茶の中にも学びがあります。学ぶ事は人の使命なのだと気づけた時、人生は豊かになるものです。
人前に立ち言葉を発する時、いつも心の中に置いておこうと思う事です。
今回も楽しく過ごせました。
ありがとうございます。

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常滑焼平型急須 宝生庵 朱泥~職人急須 宝生庵 平型バージョン~

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お茶をいれる茶器として評価が高い常滑焼。急須づくりの技術を凝らして製作されるのが平型急須です。色は皆さまが常滑焼らしいと感じる朱泥。滑らかですが土の肌合いを感じるマットな風合いは使うほどに色艶を深めます。

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生産が間に合わずご迷惑をお掛けしましたが、こちらの朱泥は僅かですが在庫が確保できました。百貨店販売では7/29~8/2の静岡伊勢丹B1F催事に登場します。お近くにおいでの際は是非、お手に取ってご覧ください。

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茶こしは陶製の極細め茶こしです。

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常滑焼平型急須 宝生庵 朱泥
容量:約220㏄※轆轤製作による手作りの品の為、目安の数字です。
価格:15000円+消費税+送料

現在、ホームページには未掲載となっています。
お買い求めご希望の方はメール、Facebookメッセンジャーなどにてご連絡ください。

<メール>
shizuoka@nishikien.com

失ったモノ、その先にあるモノ。

メディアなどで扱い茶が登場すると様々な方からのご意見が耳に届きます。実に興味深いなと拝聴しています。
特に茶に関しては「品評会」と呼ばれるものがあり、それに入賞する茶をつくる事をし、売る側も情報を発信する側も「品評会入賞」の分かり易い看板を利用してきました。

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茶はどのようにしても「飲めてしまう。」加工農産物です。(過去のあぶり茶の記事などもご参照のほど。)

品評会は殺青不良の緑茶なのか紅茶なのかはっきりしないお茶や煙や油の匂いのするお茶、乾燥不足で保管に耐えられない茶などが生産されていた時代であるなら必要な事でしたし、指標としての存在に意味がありました。その結果として品評会は目的は既にほぼ達せられています。

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さて、常滑焼の産地に足を運び、そこでも同じような話が出ます。

「使いにくい形や合っていない蓋の急須であっても構わないだろう。値段が高くなればさらにそうだとさえ思う。でも、それは蓋の合う急須も使いやすい急須もちゃんと出来る事が大前提としてある。」

蓋、合っていないけれどいいよね。
口も切りっぱなしの感じが美しい。

確かな技術に支えられた急須の中にはそのような製品も存在します。偶然が生んだ物であってもです。

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品評会に則した茶生産が出来るようになったのであれば、それを礎にして更に価値のある製品をつくる事をしてこそ本来の姿です。

築地東頭を生み出した生産者、築地勝美さんは品評会に出品し上位入賞しながらも、それと同じ製品を商品とする事は是とはしませんでした。その上位入賞の茶をつくる力があるからこそ、違う価値を創出していきました。品評会にどっぷりと浸かった生産者が品評会の茶と違うとの声を伝えてくれる事もありましたが、品評会の茶と違って当然です。品評会の規格に沿う為に失った大事なモノがあります。

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とはいえ、現在であっても、迷走して生まれる出来損ないの茶を市場に流通させている姿も見受けられるので品評会を全否定する事はしません。製品をつくる為の園地での栽培、摘採、製造など「基礎」の部分を伝えるものではあるからです。

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大事なのは品評会のその先。
時代は21世紀です。
もうそろそろ、その事に気がついてもいい頃です。

錦園 石部健太朗

ようこそ、日本茶の世界へ

「ようこそ、日本茶の世界へ」と題された秋葉原にてのミニセミナー。タイトルはご担当者が考えられたものでした。タイトルを読んでから、「では、そのような方向にしよう。」と思ったのはセミナー始まりの挨拶をしてからでした。

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「ようこそ、日本茶の世界へ と言われても皆さん既に日本茶については親しんでいらっしゃいますよね。そこで、ようこそと言うのもなんですが、ご用意した試飲お茶はタイムマシンのようなものです。樹齢百年以上のお茶から最新品種の蒼風までを楽しみながら日本茶についてのお話しをさせていただきます。」

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品種や園地、摘採や製造からお茶のいれ方についてを考えてみる。合い間に歴史の話しなどなど。

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第二回目となった今回のセミナーの終了後にご担当者からのメール。

「深くて面白い。まさに今回のタイトル通り日本茶の世界に引き込まれていくような気分でした。ちなみにタイトルは僕が付けました。笑
ちょっとカッコつけた感がありますが、実は石部さんに初めてお会いした時、僕が受けた印象そのままなんです。ぜひ、3回4回と続けていきたいと思っています。」

日常茶飯の言葉どおり、身の回りにあって空気のような存在の日本茶。親しんでいるからこそ気が付かない事柄は多くあります。

ある日、ふとした時、目に前「ようこそ!日本茶の世界へ」と書かれた扉があるかも知れません。その際は是非、扉を開いてその世界に一歩進んでみてください。

ようこそ、日本茶の世界へ。

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Author:nishikien

日本茶専門店 錦園石部商店 http://www.nishikien.com

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