誰でもお茶を美味しく。

数年前の初夏、地下鉄のフリーペーパーで記載された「誰でもお茶を美味しく飲める方法」から始まり、常滑焼平型急須へ。アイデアの理由を考えながら、頼まれたわけでも無いのに「こんな形ではどうでしょうか?」「こうしたらもっと。」の繰り返しです。
轆轤製作の急須の形などは上に伸びるか下に縮むか、丸くなるか、筒になるかのバリエーション。古い急須にも平型はありました。ただのバリエーションではなく、形状から生まれる香味の訳を考えていく。いくつもある中の「変わった形の急須」ではなく、「理由のある急須」へ。
作り手や訳知り顔の方から陰日向より「この形は前から有ったよ。」のお声も頂戴します。もちろん、存じております。
次はどうするのか?本気で販売し伝えていくのに大事なのは「数」なのです。

値段分の価値からすれば決して高くはありませんが、三桁の急須が溢れている世の中です。そこへ12000円から35000円を越える価格の急須を提案していくのは、ほんの少しですがガッツがいる仕事なのかも知れません。
催事などでずらりと並ぶ平型急須ですがご好評を頂戴し、製造が間に合わない状況が続いています。

最高に美味しい一杯のお茶をいれる人から
「そう、こういうのが欲しかったんです。ありがとうございます。」
最高峰のお茶をつくる人から
「おらのお茶をいれる為に作ってくれたような急須だなあ。ありがとう。」
急須を手に笑顔でレジに並ぶお客さまから
「急須を買うつもりは無かったけど、とてもいい品に出会えました。ありがとう。」
百貨店のご担当者から
「今のお客さま、お買いあげになられて、ありがとうっておっしゃっていましたよね。いいなあ。嬉しいですねえ。」
私は何ひとつ物はつくれませんが、作り手とお使いになられる方達の傍らで、全ては繋がっているのだなあと眺めている日々です。

ありがとうございます。
皆さま今後とも何卒よしなに。