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日本茶インストラクター Nishikien owner's weblog 


日本茶インストラクターの店主によるお茶や茶器などにまつわる事柄。

<名古屋>オーダーメイドメディカルハーブと厳選静岡茶販売会

名古屋開催 オーダーメイドメディカルハーブと厳選静岡茶販売会 のお知らせ

場所:名古屋丸善栄店 4F 〒460-0008 名古屋市中区栄3-2-7
会期:2010年7月3日(土)~9日(金)
時間:開店9:50~19:00まで

TeaPlan翠香 足利仁美さんのオリジナルオーダーメイドメディカルハーブと錦園の静岡茶販売会です。築地東頭、築地山峡、築地香駿をワインボトルを使用した冷茶にてご試飲頂きます。伝統的な製法で作られた日本茶の美味しさをお楽しみください。ご好評の選り抜きほうじ茶ももちろん登場いたします。

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築地山峡

日本茶専門店 錦園 石部商店
錦園店主 石部健太朗
日本茶インストラクター(02-0362)

工芸作物 林和春作 東方美人茶。違うけれど同じ、海の向こうにもある「しとり」の世界。

2010年6月下旬、かねてからの疑問の答えあわせに東方美人の生産現場へお邪魔させて頂きました。2000年から釜炒り茶の生産に興味を持ち、静岡産釜炒り茶製造に関わってきました。10年の歳月が流れ、自分の中に生まれた確信、それは良茶生産の基本は「蒸し製」であれ、「釜炒り製」であれ変わらないという点でした。キーワードのひとつは「恒率乾燥」~芯水をいかにして引き、「しとり」を持った状態を維持し、植物としての「茶」を嗜好品としての「茶」とするのか。「違うけれど同じ」工芸作物としての価値ある茶を考えたとき重要な意味を持ってきます。

東方美人
乾燥機へ入る間際の東方美人。オリエンタルビューティ、白毫烏龍茶、五色茶、膨風茶、香濱烏龍茶、椪風茶など数々の異名を持つ台湾オリジナルのお茶。カテゴリーとしては「青茶」に入るとされますが、製法などを見ると「東方美人茶」として独立した茶種であるように思えます。

林和春さんの作った東方美人のコンテスト入賞茶を飲ませて頂いた際に、製造時の不確定要素が大きなお茶つくりでなぜこのお茶が作れるのか?頭の中に浮かんだ大きな疑問符でした。私の心をとらえたのは東方美人茶にあるツンとした鋭い香りや、甘さ、発酵(酸化)の際に生まれる香味ではなく、正しく「恒率乾燥」を意識して作られたお茶にしかない特長。そして生産量を追った現在の深蒸し製法のお茶(深蒸しと称しながら深蒸しになっておらず、そのことに気がつかない生産家も少なくないが。)よりもこのお茶は私が理想とする普通蒸し製法の日本茶に近いと確信したことでした。

茶葉を広げる
薄く均一に茶葉を広げる林和春さん。若手実力者としてはナンバーワンとされます。

日干萎凋
全工程において、もっともパワフルに短時間で水分が引かれていくのが日干萎凋の工程。日干と室内の萎凋を繰り返す時、茶葉内外の水のキャッチボールがイメージされます。恒率乾燥を行う為の重要な工程。

東方美人茶の製法にあらためて目を向けてみると製法の中に「ウンカ(チャノミドリヒメヨコバイ)による加害(吸汁)」「日干萎凋」「室内萎凋」「攪拌」「揺青」など外から見ただけでは茶葉の状態が不安定になる要素ばかりが目に付きます。当然のように「この状態でなぜ「恒率乾燥」が出来るんだろう?」との感覚が生まれます。ところがそう思った段階で自分が工程、行為だけに目を奪われているいうことに気がつかなくてはなりませんでした。

チャノミドリヒメヨコバイ
チャノミドリヒメヨコバイと新芽(日本では二番茶の芽)

吸汁された芽
吸汁された芽。赤くなっている葉脈部分は加害された部位。葉や葉脈だけではなく、芽の部分も吸汁されている。

摘採原葉
摘採原葉。加害によって新芽は大きくなる事が出来ない為、節間(葉と葉の間)が詰まった小さな芽となる。加害によって花芽分化が起きている芽も多い。(時折り巷で節間の伸びた大きな新芽による東方美人茶を見ることもあるが、それはチャノミドリヒメヨコバイによる加害のあった新芽とは考えにくい。)
東方美人茶のための摘採は楽ではありません。揃った新芽が摘める日本の一番茶摘採でも大変なのに、加害葉を捜しての拾い摘みはなかなか量が集まらず、直射日光の無い薄曇の中でしたが暑さともにかなり厳しい作業となりました。

園地
台湾桃園縣亀山郷の園地風景。土質は赤土が主になっています。東方美人茶は虫による吸汁が製茶の為の重要な工程になるため「無農薬」になります。この園地は施肥も有機質肥料のみ。ただチャノミドリヒメヨコバイ以外にも虫はいるし、病気の発生もあるため、収量確保には園地を拡大していくしかないだろうなと考えさせられました。

室内萎凋
室内萎凋の様子。茶葉の様子によって「室内萎凋」「攪拌」「揺青」の全てが時間、強さも含めて変動します。恒率乾燥をさせるためにはむしろ変動する事の方が当然。台湾の高温多湿な環境ももちろん重要になってきます。

殺青終了
殺青終了。殺青時に釜にあたる茶葉の音で進行状態をイメージしていたのが印象的でした。

玉解き
玉解きをしている様子。丁寧な作業で作られて、キリキリと締め上げられていない。白毫烏龍茶の名のとおり白毫が目立ちます。

「日干萎凋」「室内萎凋」「攪拌」「揺青」。すべて意味があり、不安定な要素を安定させる為の作業です。工程は「やればいい」のではなく「なぜそうするのか?」が大事であり、一連の工程は恒率乾燥を行うためにする作業のほかならない。この事に気づかずに作業や動作だけを真似れば、単純に欠点茶を作り続けてしまうことになります。(∴日本産烏龍茶は品種に由来した香りと葉痛み臭がこん然となった代物が多すぎ、苦汁味と青臭、火香と蒸れ香のオンパレードになっている。葉痛みに由来する通常のお茶とは異なる香りを「花のような香り」と称しているものが多いのも前述がその理由。)和春さんと話しをしている中で「花のような香り」というけれど、まずはちゃんとお茶にしてからの話しですよ。という言葉が出たことがあります。そう、まさにその通り。

玉解き2

そして、和春さん、足利さんと語り合っている時に出た言葉。「製品は乾物としての「茶」ではなく、いれた「一杯の茶」であること。」これは私達3人が同じく考えていた共通項のひとつでした。お茶のつくり手と私達いれ手が同じ気持ちでお茶に接していることがとても嬉しく感じられました。

お茶つくりについて話しをしていると、初対面とは思えないほど同じ言葉で話しが進んでいきました。もう、数年来お茶つくりについて話しをしていたような錯覚を覚えるほどに。お茶つくりにオカルティックな部分や電波なものはありません。気がつけば実にシンプルなことばかりで、なぜこんなことに気がつかなかったのかと唖然とすることも。今回の台湾行きで気がついた事はとても沢山あります。(さらに知りたいと思ったことの方が多かったですが。)

「なぜ、それは起きるのか?なぜそれをしていくのか?」問いを繰り返す先に答えはあります。

東方美人は現在においてまだまだ、良茶生産に向けて技術の積み重ねがされているお茶です。伝え聞く黎明期の東方美人よりも現在の東方美人の方がはるかに美味しいでしょう。それは、林和春さんの東方美人に触れれば分かります。彼は茶に向き合い、なぜ?の問いを繰り返してます。その結果がちゃんと製品に現れています。

私が是とする同じ方向を向いているお茶づくり、そして人が海外にもいたこと。製品からも感じていたことだけれど、その事を実際に知れたことが今回の一番大きな収穫だったのでしょう。このことは疑問の答え合わせより重要な意味を持ちました。

彼のつくるお茶は「ただ美味しいだけのお茶」ではありません。この事を力及ばずも人々に伝えたい気持ちが胸の奥でぐるぐる回っています。日本茶、台湾茶の垣根を越えて、林和春の茶を伝えたい。遠くない未来、彼のお茶をご紹介することが多分あります。その節はよろしくお願いします。

最後になりましたがこのような機会を作ってくださいました関係者の皆さま、本当にありがとうございました。
日本茶インストラクター(02-0362)
錦園店主 石部健太朗

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