職人の手仕事。常滑急須職人 吉川雪堂さんの仕事場にて
良茶を楽しむにはよい道具が必要との想いから、茶器の製作現場にお邪魔するようになって気がつけば10年以上が経ちました。足を運べば運ぶほどに以前には見えなかった事柄が見えるようになってきて発見は尽きません。
伝統的な技法で作られる職人の手業には素直に感動を覚えます。生活雑器として使用される急須ですが、製作する側から見ると実にやっかいなものです。胴部分に対して離れた位置に重心が来る持ち手や注ぎ口。ぴたりと合う事を要求される蓋。使いやすさを考えた持ちやすさと軽さ。
当然ですが水分を含んだ土は、窯で焼かれることによって変形や収縮をします。その変化を経験で読みながら製作していくことの難しさはもっと知られてもいいのでしょう。※以前伊書いた焼成による変形などについての記事。
置物や、ものを乗せるためではなく「使う道具=調理器具」としての部分が重要な焼物が急須です。
さて先日、撮影に訪れさせて頂いたのが吉川雪堂さんの仕事場です。雪堂さんとは数年前に有名陶磁器店のご依頼で急須による香味の変化を伝えるためのマニュアルを作成した事から始まります。結果報告に窯元へ伺った際に初めてお会いしました。工房では言葉少なく、職人然としたちょっと気難しい方なのかなと感じましたが交流を兼ねた食事会では朗らかにお話しをして下さり、ものつくりについてのしっかりとした考え方に触れることが出来ました。現在は開催されていませんがOZONE 夏の大茶会では常滑蓋碗、てのひら急須などを製作して頂きその仕事の丁寧さはお客様から好評を頂戴しました。急須はもちろんですが、日本茶ソムリエの和多田さんも気に入ってくださり、著書に登場する和多田式オリジナル茶器は氏の手によるものとなります。


使用する土は、朱泥のみ。仕事場は朱に染まっています。胴部分は常滑の伝統的な一個びきによって作られます。
「写真に撮られることに慣れていないから手が震えちゃうよ。」といいながらも出来上がる各パーツはぴしりとしています。

急須の胴部分

注ぎ口

胴部分の仕上げ工程
「この段階で綺麗にしておかないと出来ない事があるんだよね。」剃刀を使いながら表面を整える姿。
茶漉しの製作。ぼうずと呼ばれるこけしのような形の挽き物に土を貼り、穴をひとつづつ開けていきます。この細かな仕事は多くの方に知ってほしいものです。



21世紀の今、このような手仕事がされているのは伝統工芸品の世界だけかもしれません。

工房にあったサンプル品。この二つに割った急須をご覧ください。薄さもさることなら不必要な厚さが全くありません。技術力の高さがこれからも分かります。

吉川雪堂さん
「丁寧な仕事を心掛けているんだよね。ちゃんとやらないと自分の気もすまないしさ。でも、これは昔から当たり前のことだと思ってやっていることなんだよね。」
祖父から連なる急須職人の家に生まれ、急須を作り始めて45年。良いものを作りたいという真摯な気持ちが作品から伝わります。
以前、講演会で「芸術品」と「大量生産品」の中間に位置する商品群を提案していくことの大切さについてといった内容を聞いたことがあります。職人の手による「個」の表現された品がまさにこれにあたります。職人が手仕事によって作り出す品々は、取り巻く環境を考えると現在、世に出ているクオリティの品が減る事はあっても増える事は無いように思う事が少なくありません。このような時代にホンモノに触れ合う機会があったことを感謝します。
使う人も物が生まれる場所の姿、様子を知り、物を見る眼を養う事が必要な時代が来ているのかもしれません。
2月17日~23日に名古屋三越栄店8Fで開催される催事では雪堂さんの急須を数十点と今回撮影した様子をパネルにし、あわせてご紹介をさせて頂く予定です。ずらりとならぶ伝統製法で作られる朱泥急須群。是非、お手にとってその仕事の素晴らしさを感じて頂ければ幸いです。
伝統的な技法で作られる職人の手業には素直に感動を覚えます。生活雑器として使用される急須ですが、製作する側から見ると実にやっかいなものです。胴部分に対して離れた位置に重心が来る持ち手や注ぎ口。ぴたりと合う事を要求される蓋。使いやすさを考えた持ちやすさと軽さ。
当然ですが水分を含んだ土は、窯で焼かれることによって変形や収縮をします。その変化を経験で読みながら製作していくことの難しさはもっと知られてもいいのでしょう。※以前伊書いた焼成による変形などについての記事。
置物や、ものを乗せるためではなく「使う道具=調理器具」としての部分が重要な焼物が急須です。
さて先日、撮影に訪れさせて頂いたのが吉川雪堂さんの仕事場です。雪堂さんとは数年前に有名陶磁器店のご依頼で急須による香味の変化を伝えるためのマニュアルを作成した事から始まります。結果報告に窯元へ伺った際に初めてお会いしました。工房では言葉少なく、職人然としたちょっと気難しい方なのかなと感じましたが交流を兼ねた食事会では朗らかにお話しをして下さり、ものつくりについてのしっかりとした考え方に触れることが出来ました。現在は開催されていませんがOZONE 夏の大茶会では常滑蓋碗、てのひら急須などを製作して頂きその仕事の丁寧さはお客様から好評を頂戴しました。急須はもちろんですが、日本茶ソムリエの和多田さんも気に入ってくださり、著書に登場する和多田式オリジナル茶器は氏の手によるものとなります。


使用する土は、朱泥のみ。仕事場は朱に染まっています。胴部分は常滑の伝統的な一個びきによって作られます。
「写真に撮られることに慣れていないから手が震えちゃうよ。」といいながらも出来上がる各パーツはぴしりとしています。

急須の胴部分

注ぎ口

胴部分の仕上げ工程
「この段階で綺麗にしておかないと出来ない事があるんだよね。」剃刀を使いながら表面を整える姿。
茶漉しの製作。ぼうずと呼ばれるこけしのような形の挽き物に土を貼り、穴をひとつづつ開けていきます。この細かな仕事は多くの方に知ってほしいものです。



21世紀の今、このような手仕事がされているのは伝統工芸品の世界だけかもしれません。

工房にあったサンプル品。この二つに割った急須をご覧ください。薄さもさることなら不必要な厚さが全くありません。技術力の高さがこれからも分かります。

吉川雪堂さん
「丁寧な仕事を心掛けているんだよね。ちゃんとやらないと自分の気もすまないしさ。でも、これは昔から当たり前のことだと思ってやっていることなんだよね。」
祖父から連なる急須職人の家に生まれ、急須を作り始めて45年。良いものを作りたいという真摯な気持ちが作品から伝わります。
以前、講演会で「芸術品」と「大量生産品」の中間に位置する商品群を提案していくことの大切さについてといった内容を聞いたことがあります。職人の手による「個」の表現された品がまさにこれにあたります。職人が手仕事によって作り出す品々は、取り巻く環境を考えると現在、世に出ているクオリティの品が減る事はあっても増える事は無いように思う事が少なくありません。このような時代にホンモノに触れ合う機会があったことを感謝します。
使う人も物が生まれる場所の姿、様子を知り、物を見る眼を養う事が必要な時代が来ているのかもしれません。
2月17日~23日に名古屋三越栄店8Fで開催される催事では雪堂さんの急須を数十点と今回撮影した様子をパネルにし、あわせてご紹介をさせて頂く予定です。ずらりとならぶ伝統製法で作られる朱泥急須群。是非、お手にとってその仕事の素晴らしさを感じて頂ければ幸いです。
日本茶専門店 錦園 石部商店
錦園店主 石部健太朗
日本茶インストラクター(02-0362)
錦園店主 石部健太朗
日本茶インストラクター(02-0362)