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日本茶インストラクター Nishikien owner's weblog 


日本茶インストラクターの店主によるお茶や茶器などにまつわる事柄。

新茶の季節。静岡の山間地にて。

4月9日~22日まで、静岡伊勢丹にて行わせて頂きました「大走り手摘み新茶」の特別試飲販売会は今年も無事に終了いたしました。ご来店のお客様、ご協力を賜りました関係者の皆さまありがとうございました。天候に恵まれたこと、生産家の技術が向上したこともあり、例年に無くご好評を頂きました。お使い先からのご注文を頂くことも度々あり本当に嬉しい新茶シーズンとなりました。
試飲販売会はひとまず終了しましたが、静岡伊勢丹B1Fおいしいふるさと村では継続販売中です。大走り手摘み新茶に加えて、安倍川流域産の新茶や、丸子佐渡山やぶきたなどアイテムも増えました。お近くにおいでの際はぜひお立ち寄りください。

さて、画像は4月22日の静岡市山間地茶園です。朝の仕入れ作業の途中で撮影しました。
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今年の新茶を拝見していると3月26日から5日ほど続いた寒さの影響を受けた園地も見受けられます。早場所は静岡に限らず製造に苦労をしたところも少なくないでしょう。
山間地茶園は萌芽が遅いこともあり、3月末の寒さの影響は見られません。健やかに育っている新芽が目立つ年です。山間地は4月中旬の雨、気温上昇に助けられて例年より3日ほど早い印象。良茶が期待できます。

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静岡の山間地はここまでは順調です。どうぞ、このあとも天候に恵まれますように。


日本茶専門店 錦園石部商店
錦園店主 石部健太朗
日本茶インストラクター(02-0362)







静岡の大走り新茶。茶園から見える百貨店。

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4月9日より予定通り静岡伊勢丹B1Fにて静岡市駿河区丸子佐渡山産大走り新茶の特別試飲販売会を行わせて頂いております。期間は4月9日から4月22日まで。
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ただ新茶の販売をするのではなく、実際にそのお茶の育つ場所や風景をご覧に頂ければと思い、園地から撮影した景色をパネルにしています。
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4月2日佐渡山より撮影。この季節に富士山の稜線が綺麗に見えているのは珍しいのではないでしょうか。

さて、静岡市らしい風景である「富士山、茶園、静岡市街」を写した画像を使用していますが、プリントしている時に気がつきました。 画面、右中央部付近に静岡伊勢丹が写っています。
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静岡県で一番早くお茶摘みが出来る産地から、そのお茶をご紹介する百貨店が見えている。全くの偶然ですけれど、ちょっと嬉しくなりました。茶園から見える百貨店て全国的にも少ないのかもしれませんね。


さて、静岡伊勢丹B1Fおいしいふるさと村にての催事期間中、大走り新茶をお楽しみ頂けます。お気軽にお立ち寄りください。


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錦園店主 石部健太朗
日本茶インストラクター(02-0362)

良茶製造の基本。適期摘採。佐渡山の適期は今。

静岡産大走り手摘み新茶、ご好評を頂いております。杉山八重穂の香味は新茶イメージにぴったりマッチしていて、ひと足先に楽しむ旬の味わいです。

大走り新茶を販売していますと多くのお客様に「もう、新茶なんですね。」との声を頂きます。この「もう」の部分は「え、こんなに早い時期に新茶が採れているんですか?」がきっと含まれています。確かに、2009年の摘採開始は3月26日ですので5月が新茶のシーズンと思っている方には驚きの早さでしょうね。

さて、大走り新茶、確かに早く出来た新茶のイメージですが、お茶の生産から考えると別に不思議な事ではありません。品種の特長として3月下旬から4月上旬に摘採の適期をむかえているというに過ぎないのです。
加温もしていないし、トンネルなどを使った保温による促成栽培でもなく、露地栽培による自然な栽培です。他の産地と早さの競争をして無理に摘んでいるのでもありません。

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昨年2008年3月26日の杉山八重穂(静岡市:駿河区)

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今年2009年3月26日の杉山八重穂(静岡市:駿河区)

摘みとりをした2009年3月26日と比べ、2008年3月26日はまだ新芽が小さい印象で摘みとりは数日先になります。

摘みとるべき時に摘み、製茶をしています。杉山八重穂にとって旬は今。静岡には多種多様な品種の財産があり、それを活かせばお茶の楽しさをもっと提案できるはずです。


静岡で一番早い露地新茶を生産しているのは「静岡県静岡市駿河区丸子」です。何十年も前から県内のどの産地よりも早く、共同工場による製造が始まり昔ながらの静岡茶を作り続けています。

現在、生産量が多く主要品種となっている「やぶきた」。中生とされますが、在来を中心とした生産がされている時代には「早生」扱いの品種でした。早生か早生でないのかは生産量の多さによって変わります。未来において杉山八重穂が極早生ではなくなる可能性もゼロではありません。



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錦園店主 石部健太朗
日本茶インストラクター(02-0362)

静岡伊勢丹B1F おいしいふるさと村にて。大走り手摘み新茶販売会のポスター

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今年の新茶シーズンの催事のご案内です。今回はフロアニュースとして大きなポスターでご紹介を頂いています。ありがたいことです。

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お気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが、2009年に入ってからの画像がちょっと変わっています。その理由は撮影機材を変更した為です。インターネットや広告に使うのであればオーバースペックの機材は必要ないとの判断でこれまで相応の機種で撮影をしてきましたが、園地をまわりその中で見たのもをちゃんと残し伝えていきたいとの思いがつのった結果12月に新機種を導入しました。

スチールの時代はEOS5で撮影した写真をスキャナで読み込んでいましたが、現像のコストや編集の手間などを考えてデジカメへ移行。最初のデジカメはキャノンA5パワーショット。時代はまだナローバンド、ISDN接続の頃でした。画像のクオリティに対して大きな期待も無く、必要充分な性能と判断してパワーショットを2機種乗り継ぎ(1.3メガ~3.2メガ)、パワーショットが壊れてしまったことをきっかけにデジタル一眼(ニコンD70)へ。
ステップアップしていく度に、デジカメ特有の味付けされた画像が鼻についてしまいそれを緩和できればと感じてもいました。
そして、2008年12月。フルサイズのSONY α900導入。
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いよいよ始まる新茶シーズン。これまで以上に産地の様子をお伝えできればと思っています。ご期待ください。



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錦園店主 石部健太朗
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駿河区丸子。佐渡山でみつけた印雑。

今シーズンも時間が許せば園地へ出掛けている石部です。佐渡山で見かけたものを少々ご紹介します。

 
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整然とした畝の中に、もっさりと刈り込まれていない株があります。放任になっているわけでもかく、見れば昨年の1番茶摘採時後に台切りされた様子。親葉は明らかに畝のやぶきたとは異なっています。さて、このお茶の樹の正体は何かといえば「印雑系品種」。


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青々とした茎に新芽が形成されていて、この樹はいつ冬眠したのかなと思います。

ちょっとお茶のことがわかってくると丸子は実に面白い産地です。まさに品種の坩堝。園地を回っていると短いひと畝だけ「あさつゆ」があったり、一株だけ「まきのはらわせ」があったり。
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丸子佐渡山の「まきのはらわせ」。この画像の撮影は3月23日。杉山八重穂と同じくらい早い品種です。時間を見つけて園地の品種地図なんか作れたら楽しそうです。


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ほぼ同日の鹿児島茶 頴娃の「ゆたかみどり」と静岡茶 佐渡山の「杉山八重穂」

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奥が頴娃のゆたかみどり。手前が佐渡山の杉山八重穂。頴娃は4月上旬から中旬にかけて、深蒸しで色が出るタイプのお茶を生産する産地です。私は取り扱いませんが、静岡にも多く入ってきて消費地への新茶に利用されています。

ほぼ同日の摘採製造のお茶でしたので拝見してみました。
ハサミの深蒸し茶と自然仕立ての手摘み園の普通蒸し煎茶ですので価格面で考えても比較するものではありません。荒茶価格差で約4~5倍です。

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鹿児島 頴娃 深蒸し 品種:ゆたかみどり
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静岡 佐渡山 普通蒸し 品種:杉山八重穂

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奥:静岡 佐渡山 普通蒸し「杉山八重穂」
手前:鹿児島 頴娃 深蒸し「ゆたかみどり」

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鹿児島 頴娃 深蒸し 品種:ゆたかみどり

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静岡 佐渡山 普通蒸し 品種:杉山八重穂

静岡と鹿児島の早場所にてほぼ同日に作られるお茶は同じ日本であってもこんなに異なります。興味深いものです。

この2つのお茶、どちらが良い悪いではありません。それぞれの産地でお茶関わっている方は真摯にお茶に向き合っているであろうと思います。

佐渡山のお茶は静岡を含めた大量生産地の方からみると前時代的な恐竜のようなお茶に見えるかも知れません。私自身、拝見をしていて「ああ、こんなお茶がまだあるんだな。」と感じます。

 
均一な製品を低価格で大量に供給するのも商いです。手摘みの小ロットで希少性が高い安くはないお茶を丁寧に販売していくのも商い。やはり、私は困難でも後者の商いをしていきたい。
園地の様子が垣間見られるような「茶」。シンプルですが新しい茶販売のスタイルの第一歩とも思います。 寒の戻りで早いと思った2009年の新茶はちょっと足踏みしています。どこよりも早く、静岡の露地栽培手摘み新茶を扱えていることに感謝です。


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在来園の芽吹き。静岡の山間地にて。

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静岡市山間の在来園です。画像ではちょっとわかりにくいかもしれませんが同じ園内で右と左の畝で親葉の大きさと色が異なっています。

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在来園は一本一本が異なる樹(実生在来)で構成されているので、よくみると色は様々です。親葉は基本的に「緑色」になっているのでその差異はわかりにくいですが、畝に見られるかわいい新芽が伸びた時様相は一変します。信じられないかも知れませんが色とりどりでにぎやかな風景になるのです。
さて、今でこそ茶園は同じ品種によって構成され、同じ色、同じ伸び方をするのが一般的になってきましたが品種という概念が持ち込まれる以前はこのような園地だったのです。
この「在来種」というのは魅力にあふれています。土地に育まれた品種といえるでしょう。「これはいいな!」と感じる在来は決して多くないのですけれどね。


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静岡伊勢丹 日本の美味しいもの展にて。

4月4日(土)、5日(日)の二日間限定で静岡伊勢丹にて開催されている「日本の美味しいもの展」へ参加させていただきました。
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アイテムは大走り新茶とさくらかおり。茶産地ならではの稀少茶2種は静岡在住の皆さまでもご存知ない方が多い品なのでこのような機会でご案内出来てとても良かったと感謝しております。

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折りしも静岡まつり。店内にははっぴ姿や着物姿の方も多く華やかな雰囲気でした。桜も満開で、さくらかおりをこの季節に楽しもうと個人はもちろんギフトにとお求めくださる方いらっしゃいました。中でも大走り新茶とさくらかおりの組み合わせは好評。確かに頂いたらうれしい組み合わせだなと思います。


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新茶関連の催事はこのあと4月9日から4月22日まで静岡伊勢丹B1Fにて行わせて頂きます。期間中、静岡で一番の初摘みの新茶をお楽しみいただけます。お近くにおいでの際はお気軽にお立ち寄りください。 


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大走り手摘み新茶。新茶の出来は上々です。

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園地での様子をお伝えしていましたが、「茶」に出来上がった杉山八重穂の画像は今年初めてになります。3月26日からの寒の戻りも大きな影響はなく、佐渡山らしい香味のお茶となっています。
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拝見茶碗の中は、いかにも手摘み摘採のお茶というのがわかります。ハサミ刈り(可搬型摘採機・手バサミを含む。)のお茶にあるスパっと切れた部分がなく、製茶の段階で切れてしまったところだけが見られます。
水色は形状のあるお茶らしい透明感のある薄い色。昔ながらのお茶づくりが現代に生きています。元来、手揉み茶を原点とする日本茶は上手に出来れば水色は出ないものです。

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大切に作られたお茶をよい茶器(道具)でいれる。乾物である製品としての「茶」から飲料、嗜好品としての「茶」へ。茶葉から、園地や作り手が見えます。 お茶を見れるようになると、楽しさは無限に広がってきます。 「だだ美味しいだけではないお茶」。そんなお茶が静岡にはあります。


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4月2日。日本茶業の礎を築いた偉人「多田元吉氏」の命日です。

日本茶業の礎を築いた人物として忘れてはいけない多田元吉氏。4月2日はその命日にあたります。氏の自宅は静岡市丸子でした。

政府から紅茶についての製法研究を任され日本人で初めてダージリンへ到達したのも多田氏です。
当時、多田氏が赴いたインド・中国の視察行程の地図を見て驚かない人はいないのではないでしょうか?期間は明治9年3月14日~明治10年2月9日までの約11ヶ月。
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社団法人静岡県茶文化振興協会発行 茶道楽14号P4より

海外から持ち帰った種子をもとに日本の風土に合うように茶の「品種改良」を考えたのも氏が初めてとされています。現在も選抜した品種は活用され最近注目されている「べにふうき」の母系「べにほまれ」は多田系アッサム雑種です。
紅茶だけではなく緑茶の製造についての指導、やぶきたの父とされる杉山彦三郎氏が師事を受けたこともあり、経歴を読むだけで氏なくして今の日本茶業は無かったといっても過言ではないように感じます。

駿河区丸子には実に多様な品種が見られます。特に佐渡山は品種の育苗を請け負っていたこともあり、その品種群は驚くほどです。挿し穂を取るための園地が点在し、杉山八重穂が現在まで現役で残ってこれたのも丸子の土地柄だからと気づきます。

さて、多田氏の命日の今日4月2日。晴天に恵まれ佐渡山では杉山八重穂の摘採が進んでいました。艶やかな新芽をつけた自然仕立て園。そして富士山。実に爽やかな気分になる風景です。
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こちらは摘採が終わった茶樹。新芽が無い姿はちょっとかわいそうな気もしますね。

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おなじみの杉山八重穂です。
ちょっと寒い日が続きましたけど大きな被害は無い様子です。今日は出来上がりで25?程度の生葉を摘採する予定とのことでした。明日、そのお茶を見るのが楽しみです。

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園地で杉山八重穂を見る石部です。背中側はやぶきた。いかに早い品種なのかがわかります。

偉大な先達が残した財産が静岡にはとても沢山あるように感じます。産地で茶園風景を眺めているとそれらをもっと大切にして、これからの茶に関わる事柄に活かしていけないものかなと思います。

私に出来るまず一歩は産地の様子を伝え、そして天と地と人が生み出した茶を「一杯の茶」としてお客様に楽しんでいただくことです。
品種にはそれぞれの香味があり、いれ方、楽しみ方も様々です。


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錦園店主 石部健太朗
日本茶インストラクター(02-0362)

新芽と山桜とニホンカモシカ。夢の風景。

3月26日、2009年産新茶の摘採。仕上がったお茶をパッケージに納めて静岡伊勢丹にて28日~29日の新茶販売。そして、本日は4月1日。

新茶の納品を終えて、ふと山肌を見ると山桜が目についたので今回は静岡の山間地へ足を伸ばしてみる事にしました。
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静岡市街地から約40分の山間地にある山桜群。ソメイヨシノのように一気に満開とはなりませんが、全体的に7~8分咲きの様子。
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こちらはちょっと早めの桜。 実はこの桜、さくらかおりのパッケージに使用している桜の樹です。画像を加工しているので元の様子はわからなくなってしまっていますけれど。
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山桜を撮っていると森の中から枝が折れる音が聞こえました。大型動物がいる気配。ちょっと様子をうかがっていると出てきたのはニホンカモシカ。
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山間地を回っていて以前に比べてカモシカを見る機会が増えてきたように感じます。

今、山の園地では美しい風景が見られます。山桜の華やかな色彩と萌えいずる新芽。
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写真を撮っていると再び、物音。そこにはまたニホンカモシカ。
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また君たちか。しかし山にはかなりな数がいるのではないかな。

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園地を回っていて胸が苦しくなるほど美しい風景に出会えた事があります。時がめぐり、同じように春が来ても二度と目にすることは無いであろう光景。

本当に微力ではあるけれど、そんな風景を未来に繋げていければと願います。2009年の新茶シーズン。よい年になりますように。


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