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日本茶インストラクター Nishikien owner's weblog 


日本茶インストラクターの店主によるお茶や茶器などにまつわる事柄。

お茶をいれるお湯の温度

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「よい茶は冷ましたお湯でいれましょう。」

 これは間違いではありませんが絶対でもありません。どんな温度であれ、使うお湯の温度を固定してしまうのは、お茶の楽しさを半減させる事です。積極的に使うお湯の温度を変化させてみた方が、お茶の豊かな表情を見る事が出来ます。甘く旨味が強いだけが日本茶の美味しさではないからです。

 では何を目安にするのか?ヒントのひとつは「茶葉の開き具合」です。湯温の高低に関わらず「茶葉がふわりと緩んだ時」に手早くいれます。湯温が高ければ早く緩みますし、低ければゆっくりと弛んで来ます。湯温に縛られず、茶葉の様子でお茶をいれる事が出来るようになったら、濃さは「茶葉の量」で調整する。これが「お茶の味、香りをコントロールしていれる事」の大きなヒントです。

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 上の画像は針のようだったお茶がふわりと緩んだ状態です。形だけではなく、色合いが明るい緑を帯びつつあることもポイントです。

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 次はお茶をいれた後の様子です。まだ開き切ってはいない状態です。煎を重ねるごとに葉が開いていくようにします。お湯の温度が低い程、茶葉はゆっくりと開くので、美味しくはいるタイミングのゾーンが広くなっていきます。(つまり、湯温が高いほどピンポイントになって難しくなる。)

 お湯の温度、量、時間を変化させながら時計の針を逆に回すようにイメージしながらお茶をいれてみましょう。

杉林の中の茶

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 「杉林の中にお茶の樹が生えている??」実は静岡の山間地を歩いていると時折目にする光景です。1本、2本ではなく結構な本数で見られる場合もあります。「これが野生のお茶の樹か?」と思われる方もいるかもしれませんが、その多くは杉が植えられる以前に茶畑だった所です。(よく見れば在来ではなく、いかにも「ヤブキタ」だなあという茶の樹もあります。)

 この他にも、ハイキング道で茶畑や放任茶園(その多くは葉っぱが少なく、まるでホウキみたいです。パッと見ただけではお茶とは気がつかないでしょう。)を見かけたりします。ある意味、静岡ならではな光景かも知れませんね。

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 様々な姿の茶樹を見ていると力強く元気なものはやはり人の手で育てられているものです。人の手が離れた園は驚くスピードで荒れてしまいます。生産家の高齢化が進んだせいか、つい最近に放任茶園になってしまったなという所も少なくないのが残念です。

 最近の大きな気候変動、環境負荷軽減のために行われている減肥の流れや、茶の価格下落(特に2番茶)などによって、年々生産者ごとの園地の格差が広がっている感が強くなっています。この負の螺旋を止めるにはどうしたらよいのか?大きな大きな命題です。

 小さな専門店の錦園ですが私に出来る事はなんなのかを常に考えています。お茶の未来が明るいものとなりますように。

山の茶園の顔なじみ

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 山の茶園で出会う事が多い虫のひとつが「ハチ」です。中でも馴染みなのが「クマバチ」。子供の頃「クマンバチ」と呼び、大きくてちょっと怖いイメージがあったのですが「刺された」という話しを聞かないハチでした。刺されるのはミツバチやアシナガバチの仲間で、どれも悪戯に捕まえようして刺されるパターン。クマバチはその雰囲気から手を出さなかったのかも知れません。(※スズメバチもクマンバチと呼ぶようですね。石部のまわりではクマバチをクマンバチと呼び、スズメバチはそのままスズメバチでした。山間ではスズメバチをフエドというところもあったような?)

 さて、このクマバチ。大型のハナバチの仲間でとてもおとなしい性質とのこと。ハナバチは花粉や蜜を集め、幼虫の餌にするハチ。ミツバチ・ハキリバチ・マルハナバチ・クマバチなど。体は一般に毛で覆われて花粉が付きやすく、花粉媒介に役立っています。お茶の花から花へ。自家不和合性の茶が実をつけるための手伝いをしてくれた虫達のひとつでしょうね。

R.T.D(ready to drink)

 ペットボトルに代表されるR.T.D(ready-to-drink)のお茶ってすごいなと思っています。均一の味で手軽に 飲めるお茶であることは何にしても素晴らしい。お金を支払って、物品が動いていくことの基本は「等価交換」。常に望むクオリティが手にはいり、裏切らな い。リーフでは不可能である「完成品」の提供が出来ています。※お茶はお湯などを使用して出来た「浸出液」が完成品です。

さて、もう少しR.T.Dのお茶を考えてみます。


・ 使用されている原料の茶葉に大きな差は無く、トップメーカーが「無香料、国産茶葉使用」となれば後発の製品はそれにならわざるをえません。(※ほぼ同じ価 格帯の茶葉を原料としていますから、大きな差などがあるはずも無いと考えるのが妥当でしょう。オマケ、製品のイメージキャラクターで選べばいい?)


・ 茶系ドリンクは陳列されたときに「濁り」や「沈殿物」があること、個体ごとに色が異なることは好ましいとは思われません。(濁りを商品特長にしている一部 の商品を除く。)結果、それが無いように徹底的にクリアな状態を作り上げて製品としますから「こく」のような部分を望むのは難しくなり、味を薄いと感じる 原因のひとつとなります。


 このよ うな事をつらつらと考えると、現状において味が濃く、飲みごたえをある程度無理なく作れる茶系ドリンクは「アルミのショット缶に入った製品」に行き着くの では?中身が見えない容器を使用すれば、外観を気にすることが無くなり、必要以上のろ過をしなくても良くなります。(これはお茶の味のコクや飲みごたえに 繋がります。お茶はデリケートな飲料であり、光を嫌います。少なくとも光が当たる状況で良い影響があるはずもありませんので保存中の劣化を防ぐ面でも優れ るでしょう。)また、ショット缶はレトルトの工程も無く、味を損ねる工程が少ないのです。(この点はペットボトルも同じ。)


  リーフのお茶のアドバンテージはあるのか?以前に「茶っぱでいれる。」といったコピーがありましたが、味の面でペットボトルより美味しく無いリーフのお茶 もゴロゴロしています。浸出液の成分がリーフでいれた方が濃いなどと主張するのも「添加」が可能なドリンクにとっては意味がない。手軽さ、成分面でリーフ はドリンクのお茶にかないません。


 リーフのお茶にあってドリンクのお茶にはない良さ。それは「半完成品」であること。半完成品を完成させる工程、時間経過によって起きる「変化」。製品の向こうにある自分が生きる国の自然。ヒントはいっぱいあります。


 大切なのは「リーフ」でしか出来ない事はなんなのか?を考える事。


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天・地・人の賜物

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 整然と美しい畝、力強く天を目差すような自然仕立ての茶園。でも、この美しさは人が丹精をしてこその姿です。ひとつの造形美ともいえます。「自然のままの美しさ。」はでは無いのです。

次の画像は放置されてしまった放任茶園です。
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 山や里をまわっているとそこかしこで放任の茶園を見かけます。そして残念なことにその数は年々増えています。管理も防除もされず放置されてしまっている姿はなんとも痛々しいものです。

 茶は「天・地・人」の賜物である。と私は思っています。そのどれが欠けても良いお茶にはなりません。人と出会い、茶は「茶」となった。天と地と人が育み、人がさらに手をいれて生み出す農作物。そして、人を介して人が楽しむ嗜好品。それがお茶なのです。

品種の話しを少々

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 お茶にも品種があるというのは一般の方にはあまり意識されていない事かもしれません。何事においても、内側に入ってしまうと分からなくなってしまう事は多くありますが、このお茶の品種もそうなのかなと感じます。私自身、お茶に関しては早生、中生、晩生の品種があることを当たり前と考えていながら、人に「蕎麦にも早生があるんですよ。」などと教えられると「あぁ、そうなんだ。」とちょっと驚くのですから、お茶に関してもいわんやです。
 「煎茶」「深蒸し茶」「ほうじ茶」「静岡茶」「本山茶」「宇治茶」などなど、お茶の種類や産地の名前で店頭に並ぶことが多いのもその理由のひとつかも知れません。



さて、そんな興味のある人は知っている、知らない人は全くしらない「お茶の品種」ですがもっとも有名なのは「やぶきた」です。静岡で選抜され現在の茶園面積中、全国で約8割、静岡県にいたっては9割が「やぶきた」。いったいどれだけの本数が植えられているのか見当もつきませんが「やぶきた」も最初はたった1本の樹でした。

ここで簡単な問題をひとつ。

「やぶきたの茶樹を1本頂きました。これを殖やしたい時はどうすればいいのでしょう?」

?「実を取って植える。」
?「挿し木を作って植える。」

 答えは?です。確かに実を取って植えても生えてきますが、そのお茶の樹は「やぶきた」ではないのです。よく見ると葉の形や色なんかも元の親の樹とはなんか違うことに気がつきます。これはお茶が「自家不和合性」の植物だからです。(簡単にいうと「茶はやぶきたに限らず、自分の花粉では実をつけたがらない植物」ということ。実は植物には少なくありません。※)つまり、実が出来る時についた花粉は「やぶきた」のものではなく、他のお茶もしくは茶の近縁種のもの。子孫に揺らぎを持たせ、環境の変化に適応していくための生き物の知恵ですね。

 というわけで、親の樹と全く同じ特性を望むのであればその一部を切り取って殖やす「挿し木」が一番手っ取り早い方法になります。

※お茶には関係ありませんが、自家不和合性なのは桜のソメイヨシノもそうです。桜に関しては『桜が創った日本』(佐藤俊樹著 岩波新書 税込¥777)がオススメです。面白い本ですよ。


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お茶の品種が見れる場所

お茶について興味を持ち勉強を始めると気になってくるのが「品種」。ところがなかなか品種を見比べるチャンスは無いものです。茶畑を見に行ったとしても畝や樹に品種の名前が書いてあるわけでもなく見慣れないとさっぱり分からないことでしょう。そこでお茶の品種を見比べてみたい方に情報提供を少し。

 静岡市の下記の場所に行きますと履歴のはっきりした品種を見ることが出来ます。イベントや何かのついでに足を伸ばせるロケーションですのでご参考までに。

東静岡駅北口付近。
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「10種類(緑茶、釜炒り茶、紅茶向き品種)」?やぶきた?こやにし?ほうりょく?山の息吹?おくひかり?鳩坑種(中国)?大葉烏龍(台湾)?ただにしき?べにほまれ?べにふうき

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静岡県立美術館プロムナード「みどり」という作品の周囲。
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「強力立木」「こやきた」「騎兵」など見慣れない名前の茶樹が見られます。プロムナードに向かう道の途中には有名な「やぶきたの原樹」もありますからあわせてご覧になるといいでしょう。特に「やぶきたの原樹」は通常は腰より下の高さしかないお茶の樹のイメージが変わるかも。

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lat=34.9931040964, lon=138.444654337

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やぶきたの原樹
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 さてそれぞれのお茶の違いを見るには新芽の頃だけではなく、お茶の花が咲く今頃も面白いものです。同じ時期、場所で仕立てもほぼ同じなのに花の咲き方が違っているのを観察出来ます。あわせて、葉っぱの形や大きさ、葉のふちのギザギザなんかもみておくといいかもしれませんね。

柿の葉っぱとお茶の話

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 もう冬の雰囲気を感じる頃になりました。それもそのはず、今日は立冬です。庭を見れば生い茂っていた柿の葉の多くが散っています。今回は柿とお茶の話しで個人的に面白かったことを少々。

 以前、博識と知られる取引先に「お茶の葉と柿の葉は同じように伸びるんだよ。」といわれ一瞬、そうなんだと納得しかけた私だったのですが、「ん?ちょっとまてよ。」と思い直し、実際に同じような環境にあるお茶と柿を比べてみたことありました。結果は全く違っていて、お茶が3枚程度の新しい葉を展開している頃、柿はすでに8枚の葉を展開していました。何事も、鵜呑みにせず調べてみるのは大切ですね。この誤解、柿もお茶もほぼ同じ時期に青々と繁るイメージがありますからそれが重なってしまったのかも。確かに初夏にかけて多くの木々が新芽や葉を広げる季節ではあります。(ちなみに、この時期の新茶の葉は約5.5日で1枚展開していきます。)


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ほぼ同時期の柿と茶を比較した時の画像。


 そのほか、生産家から聞いた言葉で印象に残っているのが「柿の枝の山鳩が見えなくなったら、茶刈り時」というもの。これは柿の葉が茂りはじめて、枝にとまっている鳩が見えなくなった頃がお茶刈り時になるという意味でした。


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 上の画像は2005年4月21日。まだ隙間があって山鳩が見えなくなるほどではありません。この年、静岡市茶市場の初取引は4月25日。茶刈りが始まったのは30日頃だったような。

 今でも茶産地を回りながら、柿の樹を見つけては「茶刈り時はそろそろかな?」などと思ったりしています。私、生産家ではないのにねえ。

ハサミといっても、茶ハサミではありません。

先日、茶ハサミの話題が出ました。お茶を扱っていますと「これはハサミ刈りのお茶ですよね?」などといった会話になります。ここでの「ハサミ」は茶ハサミで摘採したお茶ではなく主に「可搬型摘採機」によって刈られたものをさします。ハサミといっても、茶ハサミではありません。


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可搬型摘採機 静岡市葵区大間にて



 可搬型摘採機の摘採能力は手摘みとの比較で、一人当たり60~90倍※とされます。(※日本茶インストラクター講座テキストより)手摘みの摘採は一人当たり一日で約10~15kgなので、可搬型で計算すると1200~1800kgとなります。(可搬型は畝をはさんで2人で支えるものですから2人で計算)数字上では実に60人力。


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畝は片側ずつ刈り採ります。一往復して摘採終了となります。



 さて、とかいいながらどこで刈るかによってこの数字は大きく変化します。つまりはどのようなお茶を作るかによっても変わるということです。具体的には手摘みのような一芯二~四葉で刈るのか、五~六葉目までも刈るのかで量は変わります。艶やかな針のような形状のお茶を目差すのであれば前者のように、形状の問われないお茶を作るのであれば後者のようになります。高価でも高品質な少量生産か、安価でそこそこな大量生産かです。

 形状のよいお茶は茶園でどのような様子だったのか分かるごまかしが効かないお茶です。反面、形の無いお茶はごまかしが効くお茶といえます。(生葉を刻むカッターを備えた工場も存在しています。)

 工芸作物の代表ともいえるお茶は、その多くが工業製品のようになりつつあります。茶業者の中には「お茶は工業製品だ。」と言い切る方もいらっしゃいます。確かに、時代はその流れですから間違ってはいないのかもしれません。
 
 でもね、お茶の本質は「農作物」であり畑で、いい生葉を作り工場で職人が生み出す「工芸作物」なのだと私は思うのです。そして、そこには日本人の日本人らしい感性が生きているんだとね。

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手摘み摘採による形状のあるお茶 静岡市葵区横沢(東頭)産
まさに農作物であり工芸作物。手揉みではなく60キロ機による製茶。

手摘みと茶ハサミ

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 現在、日本におけるお茶の摘採は動力のついた可搬型の機械、もしくは乗用型が主ですが昔は人の手による手摘みでした。「手摘み」は文字通りですから想像が出来ることでしょう。ちょっと見慣れない摘採方法に茶ハサミ(手バサミとも言います。)があります。


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  茶ハサミは後ろに袋がついていて、刈った茶が入るようになっています。畝の形にあまり左右されることもなく摘採が可能で、現在でも可搬型で刈り残した所なんかは茶ハサミを使ったりしますから現役の道具とも言えます。摘み採りの能力を比較してみると 手摘み =10~15kg 茶バサミ=100~150kg とされています。摘み採り能力は実に約10倍。手バサミは気をつけて使っていてもその構造として「葉」を切ってしまいますが、上手な人が使えば想像以上に綺麗な生葉が用意出来たりもします。※同じ面を2度刈りしないのがコツ。


  静岡の山間地茶園はまだまだ、在来の園地が残っています。在来の茶園は亀の甲羅みたいな姿の所が少なくないので茶ハサミがよく使用されます。在来と茶バサミの組み合わせは時期になればそこかしこで見る事が出来ますよ。
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土地が育むお茶。効率と非効率。大切ななにか。

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 画像は静岡市の山間地茶園で撮影したものです。よく目にするお茶の新芽はきれいな黄緑色がほとんどですが、実はお茶の芽の色は様々。赤と言うよりワインのような色の芽があったり、ちょっと驚くこともあります。

 1975~1980 年に静岡では在来実生茶園から「やぶきた」への大規模な転換が行われました。全国に目を向けてみると全茶園面積に対しての在来の割合は1954年が 96.6%であったのに対して1998年には9.9%。(時折、「お茶の味が昔と変わった。」などといった声を耳にしますがそれは錯覚ではないと考えられ る数字です。)


※在来種(ざいらいしゅ)品種化された「茶樹以外」をさす呼び名です。


 お馴染みの一面に揃った茶園の姿は品種導入によるもので、在来の園では芽の伸び方も色も、大きさもまちまちなんです。


 さて、効率よく品質の良いお茶を作れるように品種は盛んに導入されました。芽がいっせいに生えそろえば機械やハサミによる摘み採りがしやすく、生葉の熟度もそろいます。少ない労働力で、たくさんの生葉が採れればそれをお茶にする機械も大きくできて生産量も増やせ、お茶の価格を下げることにも繋がります。高効率、生産量拡大、いいことばっかり。世界を見回しても先進国で茶の生産を可能にし、品質よいお茶を作れているのは日本だけでしょう。素晴らしいことです。


 でも、ふと思います。品種が導入される前「お茶は混植の方がいい。」といった声もありました。本当に、在来のお茶は美味しくなくて駄目なお茶なのでしょうか?。摘み採りの機械化、大型機械による製茶。効率化の中で切り捨てられたものの中に大切なものがあるんじゃないかな?と。


 時代の流れはとても速くなって来ています。より効率化と叫ばれるのかも知れません。さらに大量に均一なものを作る動きもあります。ペットボトルや煎茶の粉末化(抹茶ではありません。)もそのひとつ、健康にいいとの掛け声でお茶を原料にした製品ももっと増えていくことでしょう。


 でも今、大切なのはちょっと立ち止まって「非効率」で手間が掛かることの本質を知ることなのでは?完全に失われてしまってからではそれを取り戻すのは大変です。今ならまだ、遅くはないと思うのです。多分ね。


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静岡市の在来茶園にて。

静岡に根付く麗しの茶

2006年7月のOZONE夏の大茶会においても好評だった「静岡の釜炒り茶」。中でも「麗しの茶」と名づけたお茶は中国茶ファンの方達にとても喜んで頂けました。この「麗しの茶」は静岡市に植えられた金萱茶(台茶12號)を使用して作った釜炒り茶でした。

 香りのよい新しいお茶をご用意したいとの思いから、生産家の方々と2000年の台湾での製茶研修へ行き、2002年には阿里山の茶工場へ。数年の間に色々なことがありましたが台湾との交流、生産家の努力によって2006年に静岡産金萱茶の釜炒り茶が誕生しました。苗を植えて3年、手摘みによる摘採がやっと出来るようになり総生産量は僅かに3kg程度のお茶です。日本の土地に育ち、作られたお茶はちゃんと日本茶らしい雰囲気を兼ね備えて出来上がりました。

 現在、麗しの茶は金萱茶だけですが今後は「翠玉(台茶13號)」「四季春」なども出来る予定です。この他にも釜炒りに向くと期待しているお茶はいくつかあり「香寿(印雑系在来)」や「藤かおり」「蒼風」「さくらかおり」はその代表格です。

 静岡市の茶産地から個性豊かなお茶が誕生します。実に楽しみなことです。ご期待ください。


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画像は静岡市に植えられている「金萱茶(台茶12號)」です。

日本茶インストラクターとしての仕事

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 今年も日本茶インストラクターの一次試験が近づいてきました。数年前になりますが、私も受験前にかなり焦っていた記憶があります。受験なさる皆さまのご健闘を祈ります。

  この資格を仕事に役立てているのは日本茶喫茶(和カフェ)や茶業関係者がその代表格かもしれません。中でも一般の方が日本茶喫茶などを開業をなさろうとするのであれば、日本茶全般の知識を知ることや、開業後の肩書きとしても取得なさるのが望ましい資格でしょう。お茶を仕事にするのなら「ただお茶が好き」だけではなく、一度はちゃんとお茶について勉強をするのもいいものです。

  私が日本茶インストラクターとしての仕事を振り返り、思い出深いのは常滑商工会議所からご依頼を頂いたの職人諸氏への日本茶のセミナーでした。意外に思われるかも知れませんが例外を除いて、お茶を扱う者は茶器の事を知らず、茶器を作る方々がお茶の事を知りません。セミナーは「急須の中ではどのような事が起きているのか?」「湯温による味、香りの違いは?」に主眼をおいた体験型にて進めました。物を作り出す方達が対象でしたので言葉ではなく感じて頂くのが大切と考えたためです。体験型を基本にして全2回のセミナーとなりました。

常滑急須プロジェクト http://www.toko.or.jp/kyusup/kousyukai.htm

  この他、講義ではなくインストラクターらしい仕事として思い出されるのは某有名陶器店より依頼された販売スタッフ向けの販売ツール用コメント製作です。内容は形や大きさの異なる8種類の急須にあった茶葉(茶種や価格)、使い方、楽しみ方のアイデアなどを提案させて頂くというものでした。インストラクター、アドバイザー、一般の方の協力を頂いて官能審査とアンケートを実施し、その結果をもとにしながらコメント及び資料を製作しましたがとても楽しく出来た仕事のひとつになりました。




秋の茶園 杉山八重穂

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2006年新茶、静岡県内で最も早い摘み採りが行われた「杉山八重穂」の茶園です。ここでは年一作の手摘みしか行いません。今ではもう珍しい自然仕立て、樹齢は50年以上になるでしょう。小さい文字(通常茶園の樹は摘採や更新を行いますので何十年経っても大きな樹になることはありません。)春の摘採製造の後、「台切り」の更新をしてから約四ヶ月が経った姿になります。茶樹の様子は概ね良好。来年の新茶が楽しみです。

 茶は永年性の農作物ですので園地に植えられると数十年はその土地で生態系を形成することになります。目に見えない細菌から虫、動物(人を含む。)まで実にバリエーション豊かです。

ただし、単一の植物が同じ場所にまとまって栽培されているというのは病害虫が発生しやすい環境になります。病気や虫は常に茶園に存在し、多く発生するか発生が少ないかであり「ゼロ」になることはありえません。逆に虫や病気が「ゼロ」などというのは不自然な事なのです。茶園は茶樹を中心において、バランスのとれた状態を維持していく場所であり、これを上手くやっていくには高度な技術が必要になってきます。慣行の栽培では必要最小限を心がけながら病害虫に対しての防除(農薬の使用)、無農薬では病害虫の被害にあい難いような肥料設計や更新、土壌細菌の多様さを考えた有機質資材の使用などなど。美しく育った茶樹の影には生産者の並々ならぬ努力があります。

雨上がりの茶園で伸び伸びと育った茶樹を見ていたら「いいお茶になるかどうかは、茶園で9割決まっているんだよ。」と優秀な生産家が話してくれたことを思い出しました。

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