職人急須 宝生庵「鉄色」という茶器
先だってお手伝いをさせて頂きました急須百選展2009において「職人急須 宝生庵」を多数個並べての展示販売を致しました。商品の説明をしますと多くのお客様から、「え?これロクロの手つくりなんですか?」との驚き混じりのお声を頂きました。同コンセプトで製作された急須がまとまって販売されることはあまり無い事なので、ちょっと珍しい光景だったのかもしれません。
このようなスタイルとしたのはロクロによる手つくりゆえに全く同じものはひとつとしてないことを知って頂ければとの考えでした。
使いやすくお茶をおいしくいれるための機能が凝縮した手つくり急須。呈茶をする際や、日本茶インストラクターとして日に何度もお茶をいれるのに使える道具としての急須が欲しいなとの想いから誕生しました。
手前が現在、私が使用している職人急須 宝生庵(試用期間は約10ヶ月くらいでしょうか?前に使っていたものは催事中にお客様からそれが欲しいと乞われて、販売してしまいました。)奥が新品です。
機能的な面や、期待する内容などを急須職人の磯部さんと打ち合わせをし、試作を重ねながら完成したのはもう7年近く前になるように記憶しています。
華美ではなく、シンプルで美しい。よく見ると考えられていて、実は同じものがない。また、ロクロでなければ出来ない意匠があちらこちらにあること。お茶のいれ手と急須のつくり手の技術がカチリとはまった品としてはナンバーワンのアイテムでしょう。
石部使用中の宝生庵 鉄色
新品在庫の宝生庵 鉄色
画像ではわかりにくいかもしれませんが、現物をご覧頂くと違いは歴然です。艶の深みが生まれ、主の無い道具にあるよそよそしさがありません。「私は現役です。」と茶器が言っているようです。
それはそれとして、
サイズから見て、少し長めの手口(取っ手と注ぎ口)、細かな茶漉し。茶葉をいれるのにも、茶殻を捨てるのにも便利な形状。見えない部分ですが内面の形状には段差がほとんどないことに驚かれます。蓋受けについている縁は一般的な鋳型では出来ない形状です。エトセトラ、エトセトラ。そして、出来る限り軽く。
常滑の職人だからこそ、そして釉薬の無いせっ器だからこそ出来た急須といえます。機能面や作業内容から見ての価格は決して高いものではありません。この急須は眺めるものではなく使う為の道具です。
何度となく伝えさせて頂いていますが「お茶をいれる。」というのは料理に等しい作業です。よい料理人がよい道具を使いこなすように。道具がその人の手の延長のようになるように。そんな想いで出来上がった職人急須。これからの催事でも数点の登場をする予定です。是非、お手にとってみて欲しいなと思います。お茶の香味が深まる季節。よい道具でおいしいお茶をお楽しみくださいませ。
日本茶専門店 錦園石部商店
錦園店主 石部健太朗
日本茶インストラクター(02-0362)


















