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日本茶インストラクター Nishikien owner's weblog 


日本茶インストラクターの店主によるお茶や茶器などにまつわる事柄。

左利き用急須/職人急須宝生庵 鉄色

延々とお待ち頂いたお客様からのご依頼品が本日到着しました。
きっと、首が伸びてろくろ首みたいになってしまわれているのではないかと心配しつつ発送の準備をしています。
大変お待たせしてしまい申し訳ありません。

左利き用の急須は催事などで時折、お客様からご希望を頂くことがあります。
ティーポットのような後ろ手タイプなら利き手を選ばないのですが、やはり横手急須の使いやすさは特別です。
ギフトなどでもきっと喜ばれるアイテムですね。

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常滑焼 職人急須「宝生庵 黒」

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磯部さん作の宝生庵「黒」です。ファーストロットは丸さと可愛らしさを考えましたが、セカンド以降は宝生庵 鉄色の形に近づけました。急須はやはりお茶をおいしくいれる為の調理器具です。ファーストロットをお持ちの方はある意味値打ちです。あんなに可愛らしい急須はめったにないでしょう。(特に、オーダーで左利き用を手にしているITABASHI様。値打ちです。壊さないようにしてください。)

さて、急須の良品を手にする環境は日々厳しくなっているように感じます。よい品を作り出す職人諸氏は年齢を重ね、円熟の域に達しています。作業の様子を見させて頂くと、ここまで自分の意思を土に映すことが出来るのかと驚きます。もとはただの土なのに、手の中で姿を変え道具になっていくのを目の当たりにすると心が震えます。
ただ、未来を担う方達の環境、急須の原料になる土、全てが厳しい状況です。日本の高度成長期というのは国のそこかしこに歪みを生みもしましたが、技術を育てもしました。急須つくりの技術もそんなことのひとつです。
お付き合いのある方に「石部君、急須は紅ければ売れた時代があるんだよ。手に入れる為に現金を札束でお茶屋さんが持ってきてね。お金が金庫に入りきらなかった事もあったなあ。」これはフィクションでもなく事実なのでしょう。ロクロをひく手から指紋が無くなるほどの仕事量、手が仕事を覚えるに十分な環境。現在においては考えられない環境といえます。

別の急須をつくる方から聞いた言葉「石部君、20年仕事をしたから出来る品もあるんだよ。」実際の苦労が分からない私が口にする事こそおこがましいですが、確かにそうなんだろうなと思います。
では、今の環境が20年後の良品を生み出せるのか?私には疑問です。急須だけではありません。作家や芸術家ではなく職人が作り出す良品。21世紀初頭、それが手に入る最終コーナーのように見えています。急須が無くなることは無いでしょう。良い品がゼロになることも無いと思います。でも手軽に手に入る状況はどんどん少なくなっていくでしょう。

便利な道具とよい道具は似ているように見えて別物です。お茶や茶器を通してそんなことを伝えていけたらいいなと思う次第です。



日本茶専門店 錦園 石部商店
錦園店主 石部健太朗
日本茶インストラクター(02-0362)

職人急須 宝生庵「鉄色」という茶器

先だってお手伝いをさせて頂きました急須百選展2009において「職人急須 宝生庵」を多数個並べての展示販売を致しました。商品の説明をしますと多くのお客様から、「え?これロクロの手つくりなんですか?」との驚き混じりのお声を頂きました。同コンセプトで製作された急須がまとまって販売されることはあまり無い事なので、ちょっと珍しい光景だったのかもしれません。
このようなスタイルとしたのはロクロによる手つくりゆえに全く同じものはひとつとしてないことを知って頂ければとの考えでした。

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使いやすくお茶をおいしくいれるための機能が凝縮した手つくり急須。呈茶をする際や、日本茶インストラクターとして日に何度もお茶をいれるのに使える道具としての急須が欲しいなとの想いから誕生しました。
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手前が現在、私が使用している職人急須 宝生庵(試用期間は約10ヶ月くらいでしょうか?前に使っていたものは催事中にお客様からそれが欲しいと乞われて、販売してしまいました。)奥が新品です。

機能的な面や、期待する内容などを急須職人の磯部さんと打ち合わせをし、試作を重ねながら完成したのはもう7年近く前になるように記憶しています。
華美ではなく、シンプルで美しい。よく見ると考えられていて、実は同じものがない。また、ロクロでなければ出来ない意匠があちらこちらにあること。お茶のいれ手と急須のつくり手の技術がカチリとはまった品としてはナンバーワンのアイテムでしょう。

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石部使用中の宝生庵 鉄色

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新品在庫の宝生庵 鉄色

画像ではわかりにくいかもしれませんが、現物をご覧頂くと違いは歴然です。艶の深みが生まれ、主の無い道具にあるよそよそしさがありません。「私は現役です。」と茶器が言っているようです。
それはそれとして、
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サイズから見て、少し長めの手口(取っ手と注ぎ口)、細かな茶漉し。茶葉をいれるのにも、茶殻を捨てるのにも便利な形状。見えない部分ですが内面の形状には段差がほとんどないことに驚かれます。蓋受けについている縁は一般的な鋳型では出来ない形状です。エトセトラ、エトセトラ。そして、出来る限り軽く。

常滑の職人だからこそ、そして釉薬の無いせっ器だからこそ出来た急須といえます。機能面や作業内容から見ての価格は決して高いものではありません。この急須は眺めるものではなく使う為の道具です。

何度となく伝えさせて頂いていますが「お茶をいれる。」というのは料理に等しい作業です。よい料理人がよい道具を使いこなすように。道具がその人の手の延長のようになるように。そんな想いで出来上がった職人急須。これからの催事でも数点の登場をする予定です。是非、お手にとってみて欲しいなと思います。お茶の香味が深まる季節。よい道具でおいしいお茶をお楽しみくださいませ。


日本茶専門店 錦園石部商店
錦園店主 石部健太朗
日本茶インストラクター(02-0362)







職人急須 宝生庵のページが出来ました。

お待たせいたしました。錦園サイト内に職人急須宝生庵「黒と朱」が出来ました。
あわせて職人急須宝生庵のページもリニューアル。急須を多方向から撮った画像
を掲載しましたのでご覧頂ければ幸いです。

錦園HP 職人急須 宝生庵
http://www.nishikien.com/003tea-things/housyouan003/tea-things-houshouan-top.html

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t-houshouan-titel.jpg
容量:約250cc
価格:¥7,980(税込み・送料別)

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容量:約250cc
価格:黒¥10,500(税込み・送料別)
価格:朱 ¥9,450(税込み・送料別)


日本茶インストラクター(02-0362)
錦園店主 石部健太朗

職人急須 宝生庵「朱」と「黒」 茶器のしおり出来ました。9月10日より発送開始です。

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職人急須シリーズ最新作 「朱」と「黒」。茶器のしおりがご用意出来ました。
9月10日(月曜日)より発送いたします。ご注文をくださいました皆さま、
今しばらくお待ちください。

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この急須、常滑焼らしい茶器となりました。これまでの職人急須宝生庵にくらべてちょっと
大きめの約250ccです。

職人急須 宝生庵 「黒」¥10,500
職人急須 宝生庵 「朱」¥9,450
共に税込価格。送料は海外を除き全国¥600にて。
発送開始:9月10日(月)より。

ご注文は メール shizuoka@nishikien.com へまたは 錦園石部商店まで お電話、FAX
にて承ります。


日本茶インストラクター(02-0362)
錦園店主 石部健太朗

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