日本茶インストラクター Nishikien owner's weblog 


日本茶インストラクターの店主によるお茶や茶器などにまつわる事柄。

伝えたい品とは何か?

対面販売をしていますと、「あなたは売る気があるのかなと心配になる。」や「もっと売ろうとしなくちゃ。」といったようなお声をお掛け下さるお客さまがいます。

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改めて言われ思うのですが私は「売ろう」とした事は無いのかも知れません。伝えたいと思えた品を扱い、その品についてのお話しをしているだけなのでしょう。
 
では売上はどうなのかとなれば、決して悪いわけではありません。百貨店本店にて継続的に商いをさせていただけているのは、お買い求めくださるお客さまのおかげで、結果が残せているからです。

伝えたい品とは何か?
それはやはり「ならでは」である事。
品質はもとより、模造品や紛い物ではなく、製品として他には無い良さのある事、その種や兆しのある品です。
 
これは何も急須やお茶に限った事ではないですね。

三越Mカード通信-首都圏版 2016年9月号にご掲載をいただきました。

三越Mカード通信-首都圏版 2016年9月号にご掲載をいただきました。

【日本のおもてなし】
日本橋三越本店本館5階和食器
会期:2016年8月31日~9月13日まで

お近くにおいでの際は是非、お立ち寄りください。

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仕事をする理由

仕事をする理由

常滑にて、モノづくりの現場を拝見。
淀むことなく、迷うことなく、手が動き、動きの全てが形になっていきます。息をするがごとくに進む手仕事。

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インターネットなどの情報発信をなさる職人さんと少し話をしました。

「情報を伝えることに熱心ですよね。」
「石部さんが言ったからだよ。」
「常滑の職人さん達が当たり前と思っていること。そのひとつ、ひとつに値打ちがあるんです。当たり前に使っている道具、動作、工夫。藻掛けを知っている人なんてほとんどいないんです。」

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別の職人さんとも話しをしました。

「常滑の急須は決して長い歴史があるわけではないよ。急須だけをつくるようになったのなんて父の代からくらいだし、その父も急須なんて売れなくて本当にあちこちに持っていったんだ。苦労している中、どうにかぽつぽつ売れるようになり、高崎の商店が気にいってくれて沢山買ってくれた。家へ来て、サンテナーにはいって積まれていた急須を、これ全部買うよ。と言ってくれて助かったと話していたよ。」

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常滑の急須は昭和の時代、精度と生産量を急激に上げていった産地です。何代も続いているような窯元はほとんどありません。

後発の産地、その仕事のほとんどに分業が無く小さな窯で焼成される急須。
大きな産地ほど分業が進むのが普通です。生地製作と絵付けが別なんて事も当たり前です。

過日、茶器問屋の社長との会話
「常滑みたいなところは何処にもないよな。ほとんど一から十まで自分で作ろうとするなんてなあ。」
「ええ、そう思います。」

明治、大正と茶の輸出が盛んであったであろう時代。残された海外の写真に急須の姿は無く、目につくのは紅茶などのティーウェアです。
私が茶業を生業とするようになって20年、常滑とご縁が出来て僅か18年程度。
静岡茶と常滑急須、長い歴史の中で一瞬の接点なのでしょう。

手揉みから始まり、機械製茶によって工芸作物の成熟の域に達した「日本茶」。手に技術が滲みこむまで急須づくりに携わった職人の「常滑急須」貴人でもない一般の人がそれらを手元で楽しめる21世紀の今。

当たり前のように思っているこの時間は奇跡にも等しいのです。

出来ることなら共に未来へ。
次世代にもこの宝物を手渡していきたいものだと切に思ういます。叶わぬともそれに向き合わずにはいられません。

これが私が茶業者として仕事をする理由です。

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~茶響~ お茶を解き放す。もっと自由に。

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茶を商いとする者がお茶の「香味」について一言のある事は致し方無いことです。それは製茶や品質、いれ方も含めて。生業とする者のアイデンティティとも言える部分であり、それを軽んじる事は仕事に対しての無責任ともなります。お茶は「飲料」であり、「香味」はお茶にとって最も大事な部分です。

でも「大事」とはある意味で「鎖」にもなっています。

その最も大事な部分から手を離してみる。「香味」からお茶を解き放す。もっと自由に。

【茶響】の試みはお茶を自由に広い世界へ旅立たせる試みのひとつです。インターネットの世紀だから出来る、今、ならではの。

~茶響~PRより

茶の湯がしゅんしゅんと沸く音・・・
お茶摘さんの手元には、ぷつっぷつっというリズミカルな響き・・・
茶工場の製茶機が奏でるバッタンバッタンという機織りのようなリズム・・・
耳を澄ますと、お茶のある場所には、心地よいお茶の時間を予感させる「音」があります。

茶の音おとを、「音楽」として楽しめたら・・・
新しいお茶の世界がもっともっと広がっていくように感じませんか。

静岡の新茶シーズンに茶園と茶工場で「音」を録音しました。
そして、お茶を淹れるシーンや茶筅を振るう音など、ワクワクするようなお茶の音をたくさん集めました。

この音源を使って、素敵なミュージシャンの方たちが「音楽」を作ってくれました!
そして、ピアニストの滝千奈美氏を静岡にお招きし、お茶と在る音楽も一緒に届けられたらと、

ティーミュージック・ライブコンサート「茶響」
世界お茶まつりで初!お披露目いたします。

https://www.facebook.com/events/578960742291655/

急須に蓋は必要なのか?

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急須に蓋は必要なのか?
答えは当然「必要」です。特に「良質な茶を生産及び販売をしている。」と口にするなら、無くてもいいなどといった答えになる筈はありません。

日本茶は園地での栽培、製造、成分、水質などが相まって「低温度帯の水(湯)」を用いても比較的短時間で浸出が可能な茶種です。

「お湯を冷まさなくてはいけない」と言われますが、低い温度帯でもお茶がいれられるのは大きなメリットなのです。

旨味成分が多く、軟らかな原葉を使用した日本茶の製造工程において、恒率乾燥(表面に出て来る水分と乾く水分を等しい状態)を維持しながら製茶を行えば表面から内側に向かって大きく味が変わるお茶が作られます。

※恒率乾燥の状態を維持するのは日本茶に限った事ではありません。これは茶生産の基本であり、烏龍茶製法の萎凋時における攪拌の大きな意味は恒率乾燥の状態を促す為です。

階層構造のようになっている茶の香味を引き出すには段階的に茶葉に与えるストレスを強くしていきます。

急須を使う場合の「ストレス」はお湯の熱です。闇雲に揺するといったストレスはバランスを壊し、煎を重ねる事によって楽しめる味わいを台無しにします。

茶葉に与える熱は「湯温」「湯量」「冷め方」によって決まるのですから、煎を重ねた先に更に熱を与えるには「冷めにくい」状態にしなくてはいけません。煎で言えばおおよそ四煎目以降。

一杯の茶を美味しくしたいとした時に温度のコントロールをするのに「蓋」は必要なのです。

「お茶は解く(ほどく)ようにいれる。」
「お茶は静かにいれる。」

これはお茶のいれ方の基本です。

時計の針を戻すようにお茶をいれましょう。お茶は最後に起きた事が最初に出て来ます。煎を重ねた先に蒸かした直後の香味や茶園で感じたような味わいが楽しめた時、それこそが「栽培、製茶、製造、お茶をいれる事の全てが上手くいった証」なのです。関わった人々の仕事の結実が「お茶」です。

お茶とは面白いものですね。

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「蒸し製緑茶」の誕生

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日本茶インストラクターのテキストや世の中に出回る日本茶の本において、緑茶は大きく「蒸し製」「釜炒り製」とだけ分けられていますが、これが間違いの始まりです。

「蒸し製」は

①水蒸気を熱源に使用した製法
②水蒸気の持つ凝縮潜熱を利用する製法

に分けられ、①は現象として「湯」を使う湯びく茶に近い作り方です。蒸熱工程に使用される送帯式は「湯びく茶」そのものであり、マニュアル通りに使われる丸胴式蒸機は蒸し製と湯びく茶のハイブリッドとなっています。一般的に言われる60秒蒸すなどは「茹でる」工程をいい、浅蒸し、中蒸し、深蒸しには現象としてなりません。


②は言葉通りに水蒸気の凝縮潜熱を「酵素失活」と「茶葉に対しての均一な熱衝撃」に利用するもので「湯びく」の状態を排除した製法です。添付写真のように胴部分のカバーを外して蒸熱を行う製法です。横沢共同や他、一部の製茶工場ではこのような製法で蒸熱を行っています。拝見したことはありませんが、おそらく同様の方法で「碾茶」の蒸熱を行っている工場があると想像されます。

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「釜炒り製」は

③熱源としての加熱した鉄などから茶葉への直接の伝熱によって酵素失活(殺青)を行う製法。少量の茶葉を使う釜炒りなど。

④熱した鉄などから茶葉全体を熱し、茶葉内の水分を加熱、「炒り蒸し」の状態を作る製法。台湾他に見られる殺青機など。

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販売時に語られ、伝えられている言葉に間違いがあります。その事に気がつけるかどうか。生産者、製茶問屋などの茶業者でさえ気がつけていないのが現実です。

最も基本的な部分を理解すること。

百年の時を重ね到達した②の蒸し製緑茶を目にする事が出来ていること。

つまり「蒸し製」は過去において安定して作れなかった茶種であり20世紀後半から21世紀前半に初めて製品としての製造が可能となった茶なのです。

2016年 夏のご挨拶

お客様へ

 お世話になっております。錦園の石部です。夏のご挨拶が出来るのも皆様のおかげです。ありがとうございます。今年の新茶は生産者ごとの品質に差が大きく難しい年でしたが、関係者と連携しながらどうにか良品のご手配が出来ました。

 「Youは何しに日本へ」に出演なさった日本茶がとても好きなスウェーデン人のブレケル・オスカルさんが番組内で「望月庄司作 さくらかおり」をご紹介くださり、多くの皆様からお問い合わせを頂戴しました。さくらかおりの特長的な風味は水出しだと感じやすくなります。これまで春のお茶のイメージが強いさくらかおりですが、水出しもお試しのほどを。

 催事などで好評なのが昨年テレビでも話題になった「蒼風(そうふう)」です。「世界で一番受けたい授業」の中でケルセチンを多く含む機能性品種茶として紹介がありました。「蒼風」は日本茶らしい旨みと華やかな香気が特長の品種茶で、4年ほど前から摘採製造が可能になり、扱い茶のひとつになっています。

ケルセチンは・認知機能障害の予防・活性酸素の除去 
・血管機能の改善・脂質代謝の改善

などの効果が期待されているフラボノイドのひとつです。玉ねぎの表皮部分にも豊富なのでご存知の方もいらっしゃるかも知れないですね。保険成分はともかくとして、個性があって次世代の静岡茶を感じさせてくれる品種茶なので是非、一度ご賞味いただければと思います。

錦園 石部健太朗

2016年夏季ご挨拶


二十一世紀の今、日本茶の扉

二十一世紀の今、日本茶の扉

現在、2016年7月です。日常茶飯の言葉があるように私たちの暮らしの中で茶は普段から馴染みのある飲料です。

人の感覚は自分が生きているタイムスケールに影響されます。子供の頃から自然に身の回りにあれば昔からあったように思いがちになるものです。

私たちのよく知る「日本茶」は実は歴史が深くはありません。明治以降、外貨獲得を目的に国策として生産された「茶」が原型です。1738年に永谷宗圓が発案したとされる蒸し製緑茶の製法を基礎としながら機械化された茶です。

茶の輸出と言ってもピンと来ない方がほとんどでしょう。累計統計を見てみると明治24年(1891年)全国の荒茶生産量の9割は輸出されています。当時の輸出先はほとんどがアメリカでした。

静岡市で暮らす人には馴染みのある静岡鉄道は明治39年(1906年)に静岡市から清水港へ茶の輸送をする為に作られた鉄道です。産業の規模を思わせる事例のひとつです。

大正6年(1918年)の30102t(内、緑茶17874t)をピークに輸出は減じて行きました。大正6年の総生産量に対しての国内用は22%であった のに大正8年には国内用が64%に逆転します。以降、輸出量が国内用を上回ることは無く、昭和38年には総生産量の95%以上が国内向けとなり、昭和43 年には1064tの緑茶が輸入されるようになりました。

平成16年には総生産量の99%が国内向けとなり茶の輸入量は16,995t。

今年は平成28年、平成元年生まれの人も28歳です。茶が国策として輸出されていた事など想像もつかない人がほとんどでしょう。

明治16年の茶生産量は20800t平成25年の生産量は82800tとなりました。この間に民間育種も含めれば100近い品種茶が生まれ、手揉みの製茶理論を機械化した優秀な製茶機械も開発されました。
茶の品種が登録されるまでに掛かる年数は20年近く、一朝一夕に新しい品種は出来ません。

21世紀の今は先達の努力、茶の大量生産と消費に支えられた時代があったからこそ出来た「近現代の日本茶」を楽しめる時代です。
高品質でかつては貴人しか楽しめなかった品質の茶を誰もが手にする事が出来るようになっています。
多種多様な品種群は実に表情豊かで、無香料なのに花のような香りや桜葉のような香りが楽しめる品種もあります。

そう、まるでワインのように茶を楽しめる時代。いや、ワイン以上に楽しめる嗜好飲料となり得るのが現在の日本茶です。
これまでの歴史を振り返っても、今のような時代はありませんでした。これまでの歴史を下地としながら新しい茶の楽しみ方、茶文化を生み出せるのが今なのです。

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世の中に売っていないモノ

私は本当に大切で良いモノは、きっと売っていないのだろうと思っています。

値段では無く、親戚や知り合いが「山に行って来たんだよ。」といいながらくれる山の幸や、「季節だからなあ。」と手渡してくれる釣ったばかりの鮎。どれも販売の流れには乗らないモノです。気持ちも鮮度も「売り物」はとても敵いません。

値段分の品質を維持し、年間安定を主軸とした「茶」。カタログ写真に則した製品を納品する「急須」が売っているモノ。それは消費が旺盛で安定供給が目的であった時代の鏡です。

年間たった10㎏しか生産量が無い単品の仕上げ茶。焼ける度に明らかに出来栄えの異なる常滑急須。
量が少なく、多くの業者さん達のような大きな売り上げは作れない品です。

どれも数十年前には「商品」として売っていないモノでした。

「それしかないの?」
「1個だけ?」

驚かれる方、それじゃあ商売にならないでしょうと半ば呆れた表情をなさる業者さんは勿論いらっしゃいます。

作り手の
「大事に売ってくれてありがとう。」
「今度はこんな風に焼けたよ。」
 
お客さまの
「今年のお茶は甘い味になりましたね。」
「素敵な景色の急須ですね。心惹かれます。」

私の言葉はどちらへも
「ありがとうございます。」
 
茶業や窯業といった大きな産業の中で、ひっそりと楽しく商いをさせていただけているなと思います。これからも、世の中に売っていないモノを売れたらいいなの気持ちを抱えながら。

皆さま、ありがとうございます。

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名古屋三越栄店にて「至福のお茶時間」開催のお知らせ。

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約1年ぶりとなります名古屋催事です。どうぞよろしくお願いいたします。

場所:名古屋三越栄店6階スタイルコート
「至福のお茶時間」
会期:2016年6月15日(水)~21日(火)まで

常滑焼急須作家二人展と限定生産静岡茶特別試飲販売会
同時開催:自然釉の常滑焼 日展作家 谷川勝明氏ほか

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「蒼風」や「香駿」など冷茶にしても美味しい香味豊かな新品種茶をはじめ限定生産の希少な静岡茶と常滑焼急須作家磯部輝之氏と甚秋陶苑伊藤成二氏の茶器などをご紹介いたします。

同時開催として穴窯で焼成された自然釉の常滑急須をご案内します。土と炎が生む芸の世界をお楽しみください。

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お茶の本、今、昔。

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昭和50年1月(1975年)発行 別冊家庭画報「お茶に強くなる本」と平成28年6月(2016年)発行 ディスカバージャパン「世界はすでに日本茶の魅力に気づいている。」より。

「粉茶(こなちゃ)」の写真比較です。ご覧の通り全く違うお茶です。

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<昭和50年別冊家庭画報 お茶に強くなる本 P12より>

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<平成28年 ディスカバージャパン 7 P87より>



この写真を見て

「へえ、違うんだねえ。」

で止まったらそれは少々勿体ないですね。お茶にご興味がある方ならもう一歩考えを巡らせてみてください。

さて、粉、茎などは荒茶を仕上げる時に出る「出物(でもの)」と呼ばれるモノ。つまり、荒茶に含まれている部品です。

そして、お茶に強くなる本の茶種の説明ページに「深蒸し茶」が無いこと。※正確には茶販売店紹介のページに深蒸し茶はフリースタイル茶として名前が出ます。

茶園紹介の写真や、当時の製茶機械のサイズなどを考えると見えて来る事柄があることでしょう。

この2冊を比較するだけで、他にも知的好奇心を駆り立てる内容はいっぱいあります。

宇治茶と八女茶に関しての記載も実に面白いです。
例えば、「九州各県の茶は玉緑茶が主体ですが、八女茶は玉露、高級煎茶に重点をおいています。(P51)」など。

お茶とはいいものです。飲まなくてもこんなにも楽しいのですから。

深蒸し茶は昔「黄緑色かちょっと赤みを帯びた色だった。」

深蒸し茶は昔「黄緑色かちょっと赤みを帯びた色だった。」

さて、写真は正しく「しとり(≈ 恒率乾燥を維持した状態)」のある製茶が行われた茶葉の変化です。:協力:横沢共同 2013年撮影
再現性が高く、細く撚り過ぎない製茶。手揉み製から機械製への移行が正しく行われている証です。

茶葉の変化

かつて、形状ばかりを意識して、蒸熱が足りない茶、きりきりと細く作ることをした茶は香味に乏しく、苦渋味の強い茶になりました。形状ばかりを重視した結果、「茶は見る物にあらず、飲むものなり」の言葉を生む事になったのでしょう。

蒸熱時間を長めにとり、効率よく「湯びく茶(湯びき茶):茶葉を茹でて作る製法の茶」を作ろうとしたのが「深蒸し茶」と呼ばれるようになった茶の始まりです。(※深蒸し茶のルーツ編纂の際に調査)

茹でられた状態の茶葉は軟らかく「形状を残しながら乾燥度を高める事」を考えて設計された機械での製茶が非常に難しかったのです。水分量が多く、潰れた茶葉は熱風が通りにくく、水色は黄緑から赤を帯びた色になりがちです。それが、かつての深蒸し茶の水色の理由です。

尚、背面送風の粗揉機はこの欠点を補おうとして考えられたものです。(発想としては既に大正時代にあったが、その風量を加熱するだけの熱量を発生させる火炉:バーナーなどが無かった。)

「日本に行って日本茶を飲みたいなあ。」の気持ちが湧きあがるように。

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2012年1月、ご縁があり訪れたブルゴーニュのワイナリー。真摯な生産の様子は摘採に使用する道具や伝えてくれた言葉の中に確かに感じられるものでした。エチケットにはブドウ摘みのカゴを肩に背負う男性が描かれていました。

見学の途中、納屋に仕舞われた端々が染まったカゴを見上げて、お茶の手摘み用の茶びくを思いだしたのを覚えています。

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「国外への販売などはどう思いますか?」と訊ねると「以前は行ったけれど、最近は国内のお客さんを大事にしているので余り考えていない。」といった旨の答え。代々受け継がれる非効率にも見えるワインの生産はそのまま、山間地での茶生産に繋がるものです。そして、生産量はワインよりも少ないのがそのような「日本茶」です。

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本当に良い物は本来、海外へは出ないものです。その価値を認められ、国内で大事にされる。富裕層にとの掛け声を耳にしますが、日本茶など高価格といっても、100gでやっと5ケタに届く程度の製品であり、その生産量など年間で100㎏程度。

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数千万のクルマや何百万のプライスタグが付けられた時計などではありません。手が届かないものでは無い品であること。これは急須も同様です。

海外の方が日本茶を好いてくれるのは本当に有難い事だと思います。そうであればこそ、日本で楽しむ茶についてをもっと大事にしたい。

日本において独自の進化をとげた「蒸し製の緑茶」。蒸し製は製造に「水」を使う製法です。

その土地に降った水で育ち、その土地の水で作り、その土地の水で飲めるお茶。それが抹茶を含めた「日本茶」です。

インターネットの普及によって情報の発信が手軽になった世紀。「日本に行って日本茶を飲みたいなあ。」の気持ちが湧きあがるように伝える事も出来る時代です。そして、その想いに応えられるようにする。それこそが大切な事と思うのです。

日本に暮らす人に、日本茶を普及ではなく、日本茶の面白さを伝える。遠回りに見えるけれど、それが海外へ継続して日本茶を売る大事な一歩。「ならでは」の品と楽しみこそが生命線です。

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日本に来て良かった


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2016年5月16日。
青い目の彼に山の茶工場で一杯の茶をいれる。気負いもなく出来る事を重ねて自然に。

茶を口にした彼は笑顔になり

「日本に来て良かった!」と言った。
「美味しい」でも「どうやっていれたのか?」でもない。
「日本に来て良かった!」だった。

そう、日本茶とはそういうものなのだ。

手摘み在来、今年で5回目。

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2016年度玉川手摘み在来の摘採製造日を5月8日(日)と生産者からのアナウンスをいただきました。
2012年より実現した手摘み在来、今年で5回目となります。

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静岡本山茶研究会在籍時に関係した熟成本山茶の事業の際に出会った在来の熟成茶ならではの美味しさと在来ゆえに変わる年度ごとの風味を製品化しようとした企画しました。

やぶきたを頂点とする品種茶のインパクトはありませんが、遠くからずっと聞こえてくるような余韻とやさしさ、そして懐かしさ。日本の土地に根付き、日本の気候で育ち、日本の水を使って飲める当たり前の中にある奇跡。

楽しいとき、辛いとき、嬉しいとき、悲しいとき。
私がいつの日か、お茶や茶器についてを語らず「まあ、お茶でも飲もう」といれるお茶はきっとこのお茶です。

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2012年版は完売となり、年度によっては在庫が少なくなっていますがビンテージの日本茶としてお楽しみいただける製品です。

ご期待ください。

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やあ、こんにちは。 初めまして。

この品種に興味を持ち、一体どのくらいの年月が流れたのだろう。

かつては静岡の奨励品種ともなりつつも茶業の歴史の狭間に消えていった品種。
強烈な個性があるわけではないと想像しながら、心のどこかに引っ掛かっていたお茶。

いわくありげな話を耳にし、本物のこの品種が何処にあるのかと天を仰いだ事もあった。
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2016年5月5日、来歴がはっきりとして園地も特定出来る単園の製品とやっと出会えた。

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「やぶきた」では無い事が拝見で伝わる。 ビターでありながら、するするとした香味。あぁ、ピノ・ノワールに繋がる。

やあ、こんにちは。
初めまして。
来年、再来年と、もっと、もっと美味しくなっていこう。
これからよろしく。

その品種は「大棟(おおむね)」。

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抽象的なところへ逃げない。本当の難しさや深さ、広さはその先。

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縁のある中でお茶についての事柄を伝える事が何度となくあります。
私は全ての人に平等に教えるような事はありません。
仕事での取引先には取引先として。
セミナー形式を取る場合はお客さまを対象に呈茶や資料なども準備してサロンのように。
催事などでは商品説明の延長にプラスして。

時間は3分以内と言われれば3分で。6時間と言われれば6時間の内容で話せます。
言葉にしてしまえば何故そんな事に気が付かなかったのかと思うような事ばかりです。
お茶だから特別なのではなく、起きている物理的な現象は普遍的なのです。共通項を探しなぞらえてみる事。この程度の事で深いなどといったように。

本当の難しさや深さ、広さはその先にあります。学ぶほどに自らの浅学に気づき、大きな湖の畔にやっと立てている事を感じる日々です。さあ、いよいよ新茶シーズンも本格化して来ます。
今年もさらに一歩。
及ばぬ事を知りながらも前へ。

茶葉は金也。良茶生産に向けてのお願い。

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静岡にて露地栽培の新茶生産が今年も始まりました。これから初夏に向かって萌えいずる新芽が全国の産地で見られる事でしょう。正に生命の輝きを感じる頃です。

さて、茶業に関わらない皆さまにお伝えしておかなくてはならない事があります。

園地で見られる「茶葉」は生産者や私たちにとって紛れもなく「お金」そのものです。茶園見学やツーリズムなどでご覧になり、美しいからといって関係者の許可なく摘採前に無闇に触るような事はしないようにしてください。

茶樹に生えている段階では気がつかなくとも、その際に出来た傷は葉痛みの原因になるのです。茶葉は強風時に擦れただけでも傷がつくほどデリケートなものです。

最も換金性の高い製品が作れる一番茶シーズンに向けて生産者は丹精を重ねています。より品質の高い製品が出来てお金を得る事が出来れば、そのお金を使ってより良いお茶の生産に投資も出来るのです。

明日の良茶生産の為に、何卒ご理解のほどよろしくお願いします。

2016年静岡新茶の摘み採りが始まりました。

2016年静岡新茶の摘み採りが始まりました。
動画をアップしております。



https://www.youtube.com/watch?v=1LKbV5oUB5c



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いよいよ新茶シーズンの到来です。


2016年催事のご案内となります。

2016年催事のご案内となります。お近くにおいでの際はお気軽にお立ち寄りください。

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【静岡】静岡伊勢丹
期間:2016年4月6日(水)~5月10日(火)
場所:静岡伊勢丹地階おいしいふるさと村

【名古屋】名古屋三越栄店
期間:2016年6月15日(水)~6月21日(火)
場所:名古屋三越栄店6階ステージ#6

【東京】日本橋三越本店
期間:2016年8月31日(水)~9月13日(火)
場所:日本橋三越本店本館5階和食器

【福岡】岩田屋本店
期間:2016年10月5日(水)~10月18日(火)
場所:岩田屋本店新館 6階 和食器

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Author:nishikien

日本茶専門店 錦園石部商店 http://www.nishikien.com

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02-0362

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